
衛生管理者が行う職場巡視のチェックリスト項目とは?
職種に関わらず、50人以上の従業員がいる職場では必ず衛生管理者を選任しなければなりません。
この衛生管理者の仕事に職場巡視とチェックリストの作成があります。
これはいったいどのような仕事なのでしょうか?
そこで今回は職場の衛生管理のひとつである職場巡視とチェックリストの作成の方法をご紹介します。
いったいどのようなチェック項目が必要なのでしょうか?
また、巡視する際に気を付けなければならないことはなんでしょうか?
衛生管理者の方や、衛生管理者の資格取得を目指している方はぜひ読んでみてくださいね。
目次
1.衛生管理者の仕事とは?
衛生管理者は、職場によっては「健康診断係」というイメージが定着しているかもしれません。
しかし、衛生管理者の仕事はそれだけではないのです。そこでこの項では、衛生管理者の仕事内容をご紹介します。
1-1.衛生管理者の役割とは?
衛生管理者とは、職場で働く労働者が安全で衛生的に働けるように職場環境を整える仕事です。
ですから健康診断の日程を決めたり、職場に通達を出したりすることも仕事のひとつなんですね。
しかし、衛生管理者の仕事はそれだけではありません。
長引く不況の影響により、従業員の作業環境よりも利益を追求する会社が多くなっています。
サービス残業の増加もそのひとつでしょう。
ですから衛生管理者は産業医と協力して、職場の環境や従業員の待遇を整える必要があります。
その為に行うのが職場巡視なのです。
1-2.職場巡視はすべての職場に必要?
「うちの職場はごく普通のオフィスだから、職場巡視する必要なんかないのでは?」と思う方もいるでしょう。
確かに、衛生管理者が巡視をしなければならない職場というと、危険な薬品や物質を取り扱っていたり、極端に暑かったり寒かったりする職場というイメージがあります。
しかし、ごく普通のオフィスでも、従業員の健康や安全を脅かすものはあります。
その一例が照明の明るさとタバコです。今はパソコンのないオフィスはありません。
しかし、パソコンを使う際に照明が明るすぎたり暗すぎたりすると、目が疲れやすくなります。
また、現在は分煙をしているオフィスが一般的ですが、それが不十分ならば、副流煙がオフィスに流れ込んでいるというところもあるでしょう。
さらに、非常口や非常階段に荷物が置かれていたりすると、いざという時に避難ができません。
そして、従業員が心の悩みを抱えていたりする場合は、職場巡視でその兆候を見つけ、産業医への面談を取り付けたりもできるでしょう。
2.職場巡視のやり方や、チェックリストの項目の作成の仕方とは?
では、衛生管理者が職場巡視をする際は職場内の何に注目すればよいのでしょうか?
また、チェックリストを作成する際は、どのような項目を入れればよいのでしょうか?
この項では、それをご紹介します。
2-1.チェックリストの作成の仕方とは?
チェックリストとは、衛生管理者が職場巡視をする際チェックすべき項目をリスト化したものです。
これを作成しておけば、職場巡視が効率的に行えますし、上司に職場の安全や従業員の健康状態をわかりやすく報告できるでしょう。
チェックリストは職場ごとに自由に作成してかまいません。
インターネット上には、いくつものひな形がアップされているので参考にしても良いでしょう。
大まかな書式としては
・危険物を取り扱っている職場の場合は、危険物が適正に管理できているか、作業手順は省略されていないか
- 騒音が出る職場の場合は、基準値を超えていないか
- 一般的なオフィスの場合は照明の明るさ、室温などは適正かどうか
- どの職場でも共通の項目として、避難器具や避難通路が適正に保たれているかどうか
といったチェック項目を作ると職場の衛生環境や従業員の安全がどの程度保たれているかがわかりやすいでしょう。
前任者から引き継いだ場合は、定期的に書式の見直しを行い、チェックする項目を変えていく必要もあります。
2-2.上手な職場巡視の仕方とは?
衛生管理者の職場巡視は週1回程度が望ましいとされています。
普通のオフィスの場合はもう少し頻度を落としても大丈夫でしょう。
しかし、最低でも月に2回は行うようにすると、何かあった場合はすぐに対処ができます。
職場巡視はあらさがしではありません。
ですから、定められた作業手順を勝手に省略して職場全体を危険にさらしているような場合を除いて、口うるさく指導しないほうがよいでしょう。
職場環境というのはその場ですぐに改善できるものばかりではありません。
それよりは「何か改善してほしかったり、困っていることはありませんか?」と問いかけながら巡視したほうが効果的です。
ただし、避難経路に荷物などが放置されていたりした場合は、即行で片付けさせましょう。
災害だけは予測がつきません。
時間ができた時に片づけようと思っているうちに地震や火事が起こるかもしれません。
3.巡視の結果改善点が見つかったら?
では、職場巡視の結果改善点が見つかったらどうしたらよいでしょうか?
この項では上手に職場の問題点を改善する方法をご紹介します。
3-1.従業員の努力や作業のやり方で改善できる場合は?
職場を統括する人に、改善点があることを伝えましょう。
場合によっては話し合いの場を設けてもらうとよいですね。そこで、改善点をあげ、改善する方法を提案します。
それが従業員に認められれば、職場環境は改善されていくでしょう。
また、改善方法が思いつかない場合は、従業員に意見を求めるとよいですね。
3-2.経営者が動かないと改善できない場合は?
経営者の方針が原因で職場の安全や職員の健康が脅かされている場合は、現在起こっている問題や原因、改善方法についての資料を作り、経営者や職場管理者に目を通してもらいましょう。
また、資料には「このままで仕事を続けるとどのような不利益が生じるか」ということも盛り込んでおいてください。
トップを動かすには客観的な証拠が必要です。また、労働基準法などの法律も引き合いに出し、問題が起これば罰金刑などを課せられる危険性も説明しましょう。
3-3.個人の問題の場合は?
仕事のストレスで心身ともに健康に影響が出ている人が職場にいる場合は、産業医との面談をセッティングしてあげましょう。
本人が自分の心身の状態に気づいていない場合もあります。
また、産業医が一度診断すれば、より専門的な医師へ紹介状を書くこともできます。
医師の診察を受けた結果、服薬や休養が必要場合は本人とともに上司へその旨を知らせるとよいでしょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか。今回は職場の衛生管理のひとつである職場巡視のやり方やチェックリストの作成の仕方などをご紹介しました。
まとめると
- 普通のオフィスであっても職場巡視は必要
- チェックリストを作成すれば、上司への報告も効率的に行える
- チェックリストの書式に決まりはないので、職場にあったものを作成しよう
ということです。職場巡視はともすれば形骸化しがちな仕事です。
しかし、職場巡視をきちんと行っていれば防げる事故なども多いでしょう。
特に避難経路をきちんと管理していないといざというときに困ります。
また、職場の衛生管理をきちんと行っていれば、徐々に経営も上向いてくるというケースが少なくありません。