労働衛生保護具の種類とは? 使う際の注意点とともにご紹介します。

世の中にはたくさんの仕事があります。
仕事内容によっては、体に有害な物質を扱ったり大きな音や粉じんなどが出たりすることもあるでしょう。
そこで、労働安全衛生法では条件に当てはまる職場で、労働衛生保護具を使用するように定めています。
そこで、今回は労働衛生保護具の種類や、保護具を使用しなければならない職場の条件などをご紹介しましょう。
衛生管理者を目指している方は、知っていなければならないこともたくさん出てきますよ。
ぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. 労働衛生保護具とは?
  2. 労働衛生保護具の種類とは?
  3. 労働衛生保護具の選び方
  4. 労働衛生保護具を使用する際の注意点
  5. おわりに

1.労働衛生保護具とは?

労働衛生保護具とは、危険な作業に従事する労働者が装着する器具のことです。
労働環境は年月とともに改善され、現在では大多数の職場で危険な作業も安全に行えるようになりました。
しかし、それでも作業の中には危険を伴うものがあります。
危険な作業というと、体に有害な物質を扱ったり発火や爆発の危険がある作業に従事したりするイメージを持っている方も多いでしょう。
しかし、それ以外にも大きな音が長時間する職場や蒸気や粉じんが出る職場で働く人にも、保護具が必要です。

2.労働衛生保護具の種類とは?

では、労働衛生保護具にはどのような種類があるのでしょうか?
この項では、労働衛生保護具の種類についてご説明します。

2-1.頭を保護するもの

最もポピュラーな安全衛生保護具。
ヘルメットをイメージする方が多いですが、作業帽も髪が機械に巻き込まれないようにする立派な保護具なのです。
作業帽は安全保護具というより作業着の一部という認識をする方が多いため、正しく着用しない人もいるでしょう。
そのため、衛生管理者や安全管理者の指導が必要になる場合もあります。

2-2.目や顔面を保護するもの

遮光(しゃこう)めがねや顔面を覆うマスクなどです。
強い光を見続ける職場や紫外線を使用する職場、さらに顔に危険な物質や高熱の物質が飛んでくる可能性のある職場で使用します。
溶接作業をする人が、金属製のマスクを顔に当てて作業するのを見たことがある方もいるでしょう。
あれは労働衛生保護具の一種です。

2-3.耳や手、足など体の一部を保護するもの

職場によっては機械の大きな音が絶えないところもあるでしょう。
また、有害物質や高温・低温の物質に触れることの多い職場もあります。
さらに、足元が危険な職場もあるのです。
このような職場では、特にけがをしやすい場所を保護するために耳栓やヘッドホン、手袋や安全靴などの保護具を使用します。
安全靴や耳栓というと土木作業の現場をイメージする方も多いですが、化学物質を扱ったり高圧電流が流れていたりする職場でも手袋や安全靴は必要でしょう。

2-4.体や呼吸器を保護するもの

高温・低温の場所で作業する職場や、有害物質が気体となって飛散しやすい職場は体全体を防護服で覆う必要があります。
防護服というと宇宙服のような頑丈なものをイメージしやすいですが、食物を冷凍保存するための冷凍倉庫で働く人が着る防寒着も防護服の一種でしょう。
また、粉じんやガス、蒸気が発生する職場では粉じんマスクや防毒マスクが必要です。

2-5.安全帯

高所で作業する場合や酸欠症になる可能性がある場所で働く場合は、安全帯の装着が義務付けられているのです。
「高所」とは約2m以上の高さを指します。
また、低所でも危険な場所で作業をする際は、救助がすぐにできるように安全帯を装着する必要があるのです。

2-6.その他の労働衛生保護具

この他にも、海上で作業する際につける救命具や高圧電流が流れている場所で作業をする際に使用する絶縁保護具、坑道などで作業する際に備えておく救護用呼吸器等が、労働衛生保護具に指定されています。
これらを用意していないと、万が一のときに命が危険にさらされるでしょう。

3.労働衛生保護具の選び方

労働衛生保護具は、いろいろな種類があります。
粉じんマスクを例にあげると、防げる粉じんの種類や粒子の細かさによって形や大きさ、値段なども変わってくるでしょう。
安全用保護具は安全に仕事をするために必要です。
しかし、作業内容に合っていない器具では使いにくいばかりでなく、労働衛生保護具としても役に立ちません。
そこで、保護具を新たに導入する際は、

  • 保護具を使用する場所
  • 保護具を使用してする作業
  • 保護具を装着する時間

などをあらかじめ調べておき、労働衛生保護具を製造・販売するメーカーに相談してみましょう。
最近はホームページで作業場所や内容を記入すれば、お勧めの保護具を選んでくれるメーカーもあります。
また、取り引きしているメーカーがある場合は折を見て営業に相談してみてもよいでしょう。
さらに、保護具も年々進化しています。
新しいものの方が性能もよく使いやすいでしょう。
ですから、劣化していないものでも使用年数によっては買い替えた方がよい場合もあるのです。

4.労働衛生保護具を使用する際の注意点

では、最後に労働衛生保護具を使用する際の注意点をご紹介しましょう。
いい加減な使い方をしていては、効果がありません。

4-1.正しい使い方をする

最も基本的なことですが、労働衛生保護具は正しい使い方をしなければ効果がありません。
ですから、定期的に着用の仕方の講習会を開くとよいでしょう。
たとえ長年安全保護具を使ってきた従業員でも、正しい使い方を教わっていなければ我流の使い方をしている可能性があります。また、保護具を変えた場合も着用の仕方を講習しましょう。
この場合は、メーカーの担当者が教えに来てくれることもあります。

4-2.使用者の意見を定期的に聞く

労働衛生保護具は安全に作業をするために必要ですが、中には使いにくいものもあるでしょう。
使いにくい保護具を長時間つけて作業するのは大変です。
次第に使わなくなってしまう可能性もあります。
ですから、安全保護具が使いにくいという意見が多数寄せられたら安全保護具の見直しをしてみましょう。
メーカーを替えるだけで、使いやすくなる場合もあります。

4-3.経年劣化に気をつける

労働衛生保護具も経年により劣化していきます。
また、保護具をつけて事故にあった場合は、見た目は大丈夫でも保護具が破損しやすくなっているでしょう。
ですから、安全管理者や衛生管理者は定期的に労働衛生保護具の点検をする必要があります。
「長年使っていない」という保護具も、部品が劣化している可能性もあるのです。
いざという時に使えるように、日頃から手入れをしておきましょう。

5.おわりに

いかがでしたか?
今回は労働衛生保護具の種類や使う際の注意点をご紹介しました。
まとめると

  • 労働衛生保護具は職場で安全に作業するために必要
  • 作業の内容によって必要な保護具をつけよう
  • 保護具は正しくつけて、定期点検をしよう

ということです。
労働衛生保護具の中には、作業帽のように半ば作業着の一部になっているものもあります。
また、着用していると暑かったり動きにくかったりすることもあるでしょう。
危険な作業も慣れてくれば、「ちょっとくらい」と保護具を外して行う人がいる可能性もあります。
しかし、そのような油断が事故を招くのです。
衛生管理者の職務のひとつに職場巡視があります。
このときに安全管理者とも連携を取り、労働衛生保護具が正しく着用されているかチェックしてみてもよいでしょう。
特に、目や耳は影響が出てくるまで時間がかかる場合があります。
すぐに異常が起こらないからと安心してはいけません。