労働基準監督署の役割や調査内容とは?こんなことも行います。

労働者を取り巻く環境は、決して恵まれているとはいえません。
サービス残業やパワハラやセクハラなどで苦しんでいる方も多いでしょう。
そんなときに「労働基準監督署に相談したら?」とアドバイスされることもあります。
しかし、労働基準監督署がどのような場所か、何をしてくれるのか分からない人も多いでしょう。
そこで、今回は労働基準監督署の役割や調査内容についてご紹介します。
いったいどのような問題が起きた際、労働基準監督署に相談すればよいのでしょうか?
仕事の悩みを抱えている方は、ぜひ読んでみてくださいね。

目次

  1. 労働基準監督署とは?
  2. 労働基準監督署ってどんな組織?
  3. 労働基準監督署に相談できることとは?
  4. 労働基準監督署に相談する際の注意点とは?
  5. おわりに

1.労働基準監督署とは?

労働監督署とは、職場が労働基準法を守っているかどうかチェックする厚生労働省の出先機関です。
全国に321か所ありますから、ほぼ全自治体に1か所ずつあると考えてよいでしょう。
労働者は「労働基準法」という法律で守られています。
労働基準法によって1か月に働ける時間や残業が発生する時間、残業代、さらに解雇をするときの手順などもすべて定められているのです。
しかし、労働基準法を細部まで知っている方はほとんどいないでしょう。
労働者だけでなく、労働者を雇っている経営者でも労働基準法を詳しく知らない方は珍しくありません。
また、日本の会社は昔から悪い意味で従業員に「滅私奉公(めっしぼうこう)」を求めることが多かったのです。
それに、不況の就職難が追い打ちをかけ、いわゆる「ブラック企業」が現れました。
会社内に労働組合があれば、組合を通して経営者に訴えることもできるでしょう。
しかし、労働組合がある企業は一部の大企業だけです。
そこで、労働基準監督署が企業へ調査に入り監督や指導を行います。
あまり知られていませんが、労働基準監督署の権限はたいへん強く悪質な企業の経営者は任意の事情聴取や逮捕、検察庁への送検なども行えるのです。

2.労働基準監督署ってどんな組織?

労働基準監督署は、所長をトップとして6つの方面制署になっています。
もっとも、これは都市部にあるような大規模な労働基準監督署の構成であり、規模の小さい労働基準監督署の場合は、ひとつの部署がどんな相談も受け付けることもあるでしょう。
労働者と接することが多いのは、

  • 労働災害の調査などを行う「安全衛生課」
  • 賃金構造基本統計調査などを行う「業務課」
  • 労災保険の給付などを行う「労災課」

の3つです。
しかし、労総基準監督署には大抵相談窓口があります。
何か相談したいことがあれば、まずはそこに行きましょう。

3.労働基準監督署に相談できることとは?

では、労働基準監督署に相談できることとはいったいどのようなものでしょうか?
この項では、その一例をご紹介します。

3-1.賃金の不払い

労働基準監督署に寄せられる相談で最も多いものです。
賃金の不払いは、正式な給与だけではありません。
残業代や休日手当などの不払いも「賃金不払い」に当たります。
「サービス残業」や「自主的早出」など、「会社は知らなかったけれど、社員が勝手に残業したり早出したりしている」と印象付けるような言葉はたくさんあるでしょう。
しかし、タイムカードを押した時点で、会社は給与を払う義務が存在するのです。
「従業員が勝手にやった」という言い訳は通用しません。
そのため、ブラック企業の中にはタイムカード自体が存在しないところもあります。

3-2.セクハラ・パワハラ

性的ないやがらせを意味する「セクシャルハラスメント(略してセクハラ)」はすっかり浸透しましたが、最近ではパワハラが問題になってきています。
パワハラとは「パワーハラスメント」の略で、上司が地位や立場を利用して部下の人格を否定する行為を指すのです。
セクハラ、パワハラが蔓延(まんえん)している職場ではそれが当たり前のような空気になってしまい、なかなか内部で改善が難しいでしょう。
そのような場合に労働基準監督署の指導が効果を発揮します。

3-3.労災

労働災害の認定や保険の支払いも労働監督署の管轄です。
企業によっては、労災認定を渋るところもあるでしょう。
また、最近は過労による自殺など労災の種類も多くなっています。
その分労災なのか、そうでないのかの判定が難しくなり相談に来る人が増えているのです。

4.労働基準監督署に相談する際の注意点とは?

では最後に、労働基準監督署に相談する際の注意点をご紹介します。
手ぶらで相談に行ってもよいものなのでしょうか?

4-1.すぐに動いてくれるとは限らない

労働基準監督署は、警察と同じくらい強い権限を持っています。
ですから、警察と同じように話を聴いたからと言ってすぐに動いてくれるわけではありません。
相談内容によっては別の解決方法を勧められることもあるでしょう。
しかし、これは労働基準監督署の怠慢(たいまん)というわけではありません。
労働基準監督署は基本的に「民事不介入」です。
ですから「社長とケンカをして辞表を出したら受理されてしまった。これは不当解雇だ」と訴えても、「よく話しあわれて解決してください」といわれることが多いでしょう。

4-2.証拠を持って相談に行く

逆に、証拠がそろっていて緊急性の高い案件はスムーズに動いてくれます。
特に、賃金未払いの場合はタイムカードや業務日誌、業務のメール、上司とのメールや電話のやり取りなどを提出すれば、対応が早いでしょう。
緊急性の高い要件とは、相談者以外にもたくさんの労働者が不利益をこうむっていて、このままでは社会的に大きな問題になると判断された場合です。

4-3.相談に行くだけでも価値がある

職場の問題はなかなか相談しにくく、解決も難しいでしょう。
しかし、労働基準監督署に相談に行けば、解決の糸口はつかめる可能性が高いです。
ですから、「どうせ相談しても無駄だ」と決めつけずに、最寄りの労働基準監督署に行ってみましょう。
「誰かに話を聴いてもらう」だけでも、気持ちがすっきりするかもしれません。
また、証拠がある場合は、必ずそれを持参してください。証拠がなければ「疑わしきは罰せず」で、労働基準監督署はなかなか動けません。
また、労働基準監督署から別の機関を紹介された場合は、そこにも相談に行ってみましょう。
なお、内部告発などをした場合は守秘義務によってプライバシーが守られます。
調査が進むとどうしてもばれてしまうかもしれませんが、安心して相談してください。

5.おわりに

いかがでしたでしょうか?
今回は、労働基準法の役割や調査内容についてご説明しました。
まとめると

  • 労働基準監督署はどの自治体にもひとつはある。
  • 相談窓口が設けられているので、賃金の未払いやパワハラ・セクハラなどの悩みは相談してみよう。
  • 相談しても証拠がなければ労働基準監督署はすぐに動けない。
  • 相談しに行くだけでも価値がある場合もある。

ということです。
労働基準監督署は市役所や税務署よりも訪れる機会が少ない場所だと思います。
どこにあるかさえ知らない人も多いでしょう。しかし、労働者は経営者のいいなりになる必要はありません。
過重労働を強いられている場合は進んで訴えましょう。
会社を首になったらどうしようという不安はあるかもしれません。
しかし、ブラック企業に勤めていても定年まで勤められる保証はないのです。
ですから、ひとりで悩みを抱えていてはいけません。