今後の課題は? 日本の労働環境の現状を知ろう

日本人は海外の国から「働き者」と言われています。しかし、その環境が当たり前になってしまっている我が国では「海外の企業と何が違うのかよく分からない」という人がたくさんいるのです。「日本の労働環境はよくない」と言われているのは、一体なぜなのでしょうか。
日本の労働環境は現在どうなっているのか、気になるところです。

「日本の労働環境は現状どうなのか知りたい」「日本の労働環境にはどのような問題があるのか」「労働環境の改善に向けてどんな取り組みがなされているのか」そんな人たちのために、日本の労働環境や改善に向けた課題についてまとめてみたいと思います。

  1. 日本の労働環境の現状について
  2. 日本の労働環境の改善に向けた課題
  3. よくある質問
  4. まとめ

1.日本の労働環境の現状について

1-1.社会問題化する「長時間労働」と「過労」

現在日本では、働きすぎで亡くなる「過労死」が社会問題になっています。実は、過労死が初めて社会問題になったのは、1980年代のこと。30年以上たった現在、その問題はさらに深刻化しているのです。今や残業がない企業はほんの一部。もちろん、1年のうち仕事が立て込んで残業が続く時期があるのは、ある程度やむを得ないでしょう。問題なのは、36協定を結んでいない、いわゆる「ブラック企業」と呼ばれる会社が急増していることです。厳しいノルマや長時間労働、休日出勤を強いられ、体を壊して働けなくなったら自分から辞めるように追い込むような企業が存在しています。

そもそも会社には、労働安全衛生法によって安全配慮義務が課せられているのです。労働者の健康管理と快適な職場環境づくりは、事業主の義務。しかし、実際にはそのルールを守らない会社がたくさんあります。体力的にはもちろんのこと、精神的にも追い込まれた労働者たちの中は、やがてうつ病を発症し、自殺するケースも少なくないのです。

特に、近年は若者層の過労死が急増しています。ブラック企業で働き続けることが、時に命まで失う事態を招くこともあるということを、忘れてはいけないのです。

1-2.「正規労働者」と「非正規労働者」の割合

いわゆる「正社員」である正規労働者と違い、アルバイトやパート、派遣社員などの非正規労働者の割合が増えているのも現状の1つです。日本の非正規労働者は、昨年初めて2000万人を突破しました。特に男性は、正社員としての採用を望んでも、実現せずにやむを得ず非正規労働者の道を選んだ人がほとんど。その背景にあるのは、解雇事情だと言われています。日本では、正社員の解雇が禁止されているのです。そのため、企業はいつでも解雇できる非正規労働者の割合を増やしてリスクを回避しようとしているのでしょう。

また、正規労働者と比較して賃金が安い非正規労働者の割合を増やすことで、全体的な賃金を抑制するという結果をもたらしています。さらに、終身の雇用保障に加えて、給与、賞与、退職金のすべてを負担しなければならない正規労働者の採用を抑制しようとすることは、ある意味で合理的な選択と言えるのでしょう。

1-3.女性労働者をめぐる現状について

では、女性労働者をめぐる現状についてはどうなっているのでしょうか。「女性の社会進出がすすんでいる」と言われている今の時代ですが、果たして女性にとって働きやすい環境は整っているのか。まだまだ課題は残っています。統計によると、働く人の半数が女性です。しかし、働く女性の過半数以上が非正規労働者として働いており、その割合は年々増加しています。正規雇用を望んでも、妊娠や出産でひとたび離職した女性たちは、再び正規労働者として働き始めることが難しいのが現状です。出産後も仕事を続けることを望む女性が増える一方で、多くの女性たちが出産後の離職を余儀なくされています。男女間の賃金差についても、深刻化しているのが現状です。

1-4.労働環境の現状と問題点

日本の労働環境は、決して良いとは言えません。特に長時間労働は問題化しています。また、ワンオペ労働(代替がおらず、すべてを1人で行わなければいけない)や給与や雇用状態以上の責任を求められることも多く、いわゆる非正規雇用のブラック化も近年は問題視されるようになりました。現在では、「やりがい搾取」といって「やりがいがある仕事だから、給与が安くてもよいだろう」という意見が低賃金への言い訳に使われるようになり、新たな問題となっています。

1-4-1.海外と日本の労働環境の違い

ヨーロッパなど労働環境が整っている国では、サービス残業や長時間労働などの問題は比較的起こりにくいのです。また、休日を返上しての出勤などもよほどのことがない限りありません。一方日本では、休憩時間すら満足に取れないような職場も珍しくないでしょう。日本語の「過労死」が世界共通語となっていることからも分かります。

1-4-2.現在までの問題点

日本の会社は、労働者の責任感でこれまで支えられてきました。「一度引き受けた仕事は、たとえ無給だろうが時間がかかろうが行う」という人が大半だったため、高いサービスを安価で受けることができたのです。しかし、その結果、低賃金・長時間労働・非正規雇用が広がることになり、安定した生活を送ることができないという人が増えてしまいました。また、結婚や子育てをしたくても給与が低いのでできないという状態が少子化に拍車をかけています。

近年は若者層の過労死が急増しているんですね。
また、日本の労働環境は、決して良いとは言えず、特に長時間労働は問題化しています。ワンオペ労働、給与や雇用状態以上の責任を求められることも多く、問題視されています。

2.日本の労働環境の改善に向けた課題

2-1.労働時間の短縮

日本で労働者の長時間労働問題が指摘されるようになってから、30年以上経過しています。1987年に改正された労働基準法では、週40時間労働制を目標とし、法定労働時間を短縮することに決まったのです。その後も変形労働時間制を導入するなど、労働時間の短縮を促進する動きが続きました。この動きにより、一般労働者の年間総実労働時間は減少傾向にあったのは確かです。しかし、2000年代以降は横ばいで推移しているのが現状。

特に、事業所の規模が大きくなるほど、1日あたりの労働時間数は長くなっています。年次有給休暇の取得率に関しては、依然として5割程度という調査結果が出ているのです。年次有給休暇を取得しない理由としては「仕事量が多すぎて休めない」「休みの間、仕事を引き継いでくれる人がいない」というものが多く、取得したくてもできない職場環境に問題があると考えられます。今後の課題としては、週労働時間60時間以上の労働者割合を2020年までに5割減少し、年次有給休暇取得率を70%まで引き上げること。そのためにも、労働時間短縮に向けたより一層の取り組みが必要とされるでしょう。

2-2.職場における安全衛生の強化

職場における労働災害は、長期的に見ると減少傾向にあります。しかし、近年になって再び労働災害の発生が増加していることから、さらなる安全衛生の強化が求められるでしょう。同時に、労働安全面だけでなく、メンタルヘルスなどの労働衛生面からも現状を把握する必要があります。仕事や職場環境に関する強い不安や悩み、ストレスを感じている労働者の割合は、年々増加しているのです。

特に、正規労働者は非正規労働者に比べて、高い水準で不安や悩み、ストレスを感じていることが分かっています。平均実労働時間が長くなるほどストレスを強く感じるようになり、就労条件が不規則になるにつれてストレスを感じやすくなっているのです。その理由の多くが「職場における人間関係の問題」「仕事の質に問題がある」「仕事の量に問題がある」というもの。今後の取り組みとしては、労働災害発生件数を2020年までに3割減らすことを掲げています。

そのためには、労働安全・衛生面におけるリスクアセスメントの普及と定着を図る必要があるでしょう。メンタルヘルス対策については、メンタルヘルスケアを受けることができる事業所を増加することが目標になります。

2-3.労働問題改善への取り組みとは?

近年は、サービス残業や長時間労働を強いる会社をブラック企業と呼ぶことが半ば定着してきています。長時間労働やセクハラ・パワハラなどを相談できる場所も増えてきました。長時間労働やサービス残業を強いる会社が悪い、という考え方が定着すれば、そのような企業も減少することが期待されています。

2-4.今後の課題は?

しかし、いくら長時間労働やパワハラ・セクハラはやってはいけないことだという考えが定着したとしても、実際にそれを行っている企業の体質を改善させるまでには、いたっていません。近年では大手広告代理店の社員がパワハラやセクハラを理由に自殺し、すぐに労働災害と認められたことが大きな話題になりました。しかし、この大手広告代理店は1990年代後半から、たびたび労働災害による死者が出ており、企業の体制を変えることの難しさが、改めて浮き彫りになっています。一度「当たり前」になってしまった働き方を完全に変えるには、もう少し時間がかかるでしょう。

労働時間短縮に向けたより一層の取り組みが必要なんですね。
職場における安全衛生の強化や、長時間労働やサービス残業を強いる会社が悪い、という考え方を定着させていくことも大事でしょう。

3.よくある質問

Q.労働環境の問題は、労働組合がない場合はどこに訴えればよいのでしょうか?
A.労働基準監督署に訴える方法があります。

Q.労働環境の問題を労働基準監督署などに訴えたい場合は、どのようなものを持っていけばよいのですか?
A.必ずタイムカードを持っていきましょう。この時間労働をした、という証拠になります。

Q.非正規雇用でも、労働環境の改善を訴えることはできるのですか?
A.はい。もちろんです。

Q.正社員は解雇できないというのは、本当でしょうか?
A.正しくは、正当な理由なく解雇できないというものです。会社都合でもし解雇された場合は、失業保険がすぐに受け取れるなどの措置があります。

Q.正社員でも解雇されることはあるのですか?
A.はい。犯罪を犯した場合や、会社に大損害を与えた場合などは解雇することができるのです。

日本の労働環境の現状について疑問に思っていたことがわかってスッキリしました。
それはよかったです。日本の労働環境の現状や、改善に向けた課題の把握にぜひ役立ててくださいね。

4.まとめ

我が国における労働環境の現状についてご紹介しました。

  • 日本の労働環境の現状について
  • 日本の労働環境の改善に向けた課題

「労働環境の現状を知りたい」「日本の労働環境にはどのような問題があるのか」という人は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。