
労務トラブルの原因や解決策・未然に防ぐ方法とは?~衛生管理者の役割~
衛生管理者は労働者が働きやすい職場をつくっていかなければなりません。
働きやすい職場は仕事の効率がアップすると同時に人の健康にも良い効果をもたらすものです。
さまざまな人が働いている職場では「労務トラブル」が起きます。
できるだけ労務トラブルをなくすようにするのも衛生管理者の大切な仕事です。
労務トラブルを防ぐためにも原因や解決策、防止方法について詳しく説明します。
1.労務トラブルの原因
職場で起きたトラブルのことを「労務トラブル」と言います。
なぜ労務トラブルは発生するのでしょうか。
労務トラブルを未然に防ぐためにも“原因”を知ることが大切です。
1‐1.職場における“人間関係”
労務トラブルの原因は内容によってさまざまですが、“人間関係”が主になります。
自分から仕事を辞める人はほとんどが人間関係が原因です。
職場の人間関係が悪くなると出社したくない気持ちになってしまいます。
家から出るときおなかが痛くなる、めまいがするなど精神・肉体に悪影響が出てくるのです。
働きやすい職場づくりにおいて“人間関係”はとても大切なポイントになるでしょう。
上司との関係はもちろん、仲間同士のコミュニケーションを増やしていかなければなりません。
労務3大トラブルの1つである「退職」は、ほとんどが人間関係からきています。嫌がらせ、いじめが起きていないかどうか確認が必要です。
1‐2.社内ルール・契約内容がきちんと定まっていない
労務3大トラブルには退職のほかに「残業」があります。
最近、ニュースでも無理な残業による過労死を取り上げることが増えてきました。
残業を従業員に強制している会社は意外と多いものです。
自然と「周りが残業しているから自分だけ帰ることができない」という環境になっています。
残業による労務トラブルは非常に多いものです。
残業での労務トラブルは社内ルール・契約内容がきちんと定まっていない原因になります。
労務管理をきちんとしていないため、労務トラブルに発展してしまうのです。
社内ルール・契約内容は従業員だけでなく、会社全体において大切な内容になります。
1‐3.会社からの“一方的な解雇”
退職・残業、そして最後の1つの労務3大トラブルが「解雇」です。
解雇は会社からの一方的な契約解除になります。
労働者の同意を得ずに通知するため、労働者と会社でのトラブルになりやすいのです。解雇においては労働契約法第16条でしっかり決まっています。
客観的に合理的な理由がない場合は無効になるのです。
よって、会社が解雇をする場合はしっかり理由を記載した書面を労働者に渡す必要があります。
また、あらかじめ労働者が入社する前に契約書面で伝えておかなければなりません。
解雇は会社のリスク回避するための手段ですが、労働者が納得できない場合は注意が必要です。
2.労務トラブルの解決策
2‐1.無断欠勤が続いた社員に対する対応
労務トラブルの解決策は状況によってさまざまです。
実際にあった事例を取り上げながら、解決策を説明していきましょう。
最近、増えてきている労務トラブルが「無断欠勤」が続くケースです。
若手社員によく起こる労務トラブルで、会社にとって無断欠勤は大きなリスクにつながります。
「無断欠勤が続いている人の退職手続きをしても良いかどうか」多い質問です。ケースバイケースですが、原則退職手続きはできません。
本人に退職する意志がない限り、会社の勝手で手続きは不可能です。
よって、まずは無断欠勤をしている労働者との連絡を取りましょう。
電話をする、自宅に行くなど本人の所在を確認してください。
労働者の自宅から荷物がなくなっている場合は退職手続きができます。
どうしても連絡がつかない場合は家族に連絡する、警察に捜索願いを出すなどの行動が必要です。
2‐2.仕事のミスが多い社員への解雇
解雇に関しては慎重にすすめていかなければなりません。
たとえば、中途採用で雇った社員の能力が低い、仕事のミスが多いから解雇したいなどの申し出はNGです。
基本的に、解雇は客観的に見て合理的な理由がなければなりません。
社会に通用できる理由でなければ解雇が無効になるのです。
能力でも総合的な判断で解雇かどうか決める必要があります。
また、解雇には「整理解雇」「懲戒解雇」「論旨解雇」「普通解雇」の4つです。
世間で言うリストラは「整理解雇」になります。労働者に非違行為があった場合は「懲戒解雇」、依頼退職のケースは「論旨解雇」、企業の就業規則を破った理由での解雇を「普通解雇」と言うのです。
3.労務トラブルを未然に防ぐ方法
3‐1.労務管理を徹底する
労務トラブルを未然に防ぐためには「労務管理を徹底すること」が1番です。
労務管理を徹底することで労働者も安心して働けます。
たとえば、ニュースでも取り上げている「残業問題」です。
残業問題においては労務管理の1つである“労働時間”をしっかり管理しなければなりません。
労働者1人1人の労働時間を把握する必要があります。
労働時間の明確化と管理システムの整備をしていきましょう。システムの整備としては処理しやすいタイムカードの導入など客観的な記録が好ましいです。
また、現場の実態を把握するためにも相談窓口を設けてください。
相談窓口では賃金に対する不満や実態を労働者から直接聞き出すことができますよ。
労働者の労働時間がきちんと把握できていない職場は、管理システムをしっかりつくっていきましょう。
3‐2.職場の雰囲気づくりやカウンセリング
人間関係による退職を防ぐためには“職場の雰囲気づくり”を心がけていかなければなりません。
社内の風土を改善するのも労務トラブルを未然に防ぐ方法です。
職場で働く社員同士のコミュニケーションを増やしていきましょう。
コミュニケーションを増やす方法としては、運動会・社員旅行・食事会などが挙がっています。
最近では、会社同士の運動会に参加する企業も増えているのです。
また、仕事のストレスから精神病にかかる人が増加しています。
よって、カウンセリングの設置やアンケート調査も必要になるでしょう。
実際、職場の状況によって対策は異なります。現状起きている労務トラブルを踏まえつつ、どうすれば未然に防止できるのか考えてください。
アンケート調査によって労働者の声を聴くことも大切ですよ。
4.まとめ
労務トラブルの原因や解決策、未然に防ぐ方法について説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
労務トラブルを解決するには「原因」を把握することが大切です。
原因をしっかり把握して効率的に解決していかなければなりません。
そして、あくまでも衛生管理者は会社のトップと労働者をつなぐ大切な存在です。
実際に現場で働いている労働者の声を聴き、会社のトップに伝えていきましょう。
よりよい職場にするためには会社のトップが働きかける必要があります。
- 職場における“人間関係”が原因
- 社内ルールや契約内容がきちんと決まっていない
- 会社からの一方的な解雇
- 無断欠勤が続く場合でも勝手に解雇できない
- 社員に対する解雇は慎重にすすめる
- 労務管理を徹底する
- 職場の雰囲気づくりやカウンセリングの設置
以上のポイントは要チェックです。
労務トラブルは職場の雰囲気を悪くします。
できるだけ起きないように努力することが大切ですよ。