電光性眼炎の症状や原因・予防法について~衛生管理者としての責任~

工場や作業場では、溶接するためにさまざまな道具を使うでしょう。
溶接するときに出る光「アーク光」は私たちの目に悪影響をおよぼします。
悪い光で目の角膜に傷がつき、“電光性眼炎”になるでしょう。
「電光性眼炎」とはどんな病気なのか、詳しく説明します。
電光性眼炎の症状・原因・予防、治療法など一緒にチェックしていきましょう。
衛生管理者は現場で働く人たちの健康を管理する大切な役割です。
安心して働くことができるよう、起こるべき病気や事故を想定しなければなりません。

  1. 電光性眼炎の症状
  2. 電光性眼炎の原因
  3. 電光性眼炎の予防と治療法
  4. まとめ

1.電光性眼炎の症状

アーク光など、主に紫外線の影響によって起こる角膜炎を「電光性眼炎」と呼びます。紫外線の強い場所で生活している人や紫外線を使う現場で働く人に多く発症する病気です。
それでは、電光性眼炎の症状について詳しく説明します。

1‐1.強烈な痛みとまぶしさがやってくる

電光性眼炎の症状は、主に「強烈な痛み」です。
目に悪い紫外線を受けた直後に痛みがやってくるわけではありません。
直後ではなく、6~24時間後に激しい痛みがやってくるのが特徴的です。
昼間よりも蛍光灯の光を見る夜間の発症が多いでしょう。
夜間に強烈な痛みがやってきてから、病院を受診するケースが多いです。
目をあけることができないほどの痛み、まぶしさを感じます。
普段生活している光でも“まぶしい”と感じることになるでしょう。
がまんできないほどの痛みがやってきた場合、すぐ病院に行ってください。
自分で何とかしようとこする、市販の目薬をさしてはいけません。
逆効果になるケースもあるので要注意です。

1‐2.勝手に涙が流れる

強烈な痛みやまぶしさが主な症状になりますが、「流涙(りゅうるい)」も代表的な症状です。
流涙(りゅうるい)とは、涙が流れる様子をさしています。
悲しくも何ともないのに次々と涙が出てくるのです。
流涙(りゅうるい)が長く続くと少しずつ目をあけることができなくなります。
目をつぶっておかないと涙があふれてしまうので生活に支障をきたすでしょう。
基本的に、ほとんどの人が一晩で症状は治ります。
しかし、一晩たっても治らない場合は病院に診せたほうがいいでしょう。
角膜の上皮が炎症を起こしている可能性があります。表層角膜炎や角膜びらんと言った病気になるのです。

1‐3.治療が遅れるほど痛みが残る

目は私たちにとってとても大切な体の一部です。
電光性眼炎は一晩で症状が治まるでしょう。
けれども、何日も痛みが続く、違和感がある、まぶしさを感じる場合は病院で専門的な治療を受けたほうがいいです。
基本的に、電光性眼炎は後遺症がありません。
しかし、治療が遅れると痛みが数日残る可能性があります。
スムーズに症状を治すためにも、できるだけ早めの処置が必要になるでしょう。
まずは、炎症が起きている角膜の部分を治療しなければなりません。
炎症を抑えることができれば、後は角膜の治癒に努めるだけです。
効率的な治療をするため、電光性眼炎の原因を知る必要があります。

2.電光性眼炎の原因

2‐1.ほとんどの原因は 波長290nm付近の「紫外線」

電光性眼炎の原因は、ほとんどが波長290nm付近の「紫外線」です。
思っている以上に、紫外線から受ける目はとても大きい負担を受けています。
私たちの目は黒目・白目の部分がありますが、黒目は紫外線のおよそ90%も吸収するのです。
90%紫外線を吸収する黒目は、過剰な紫外線を受けると角膜がやけどします。
角膜がやけどをすれば炎症が起こるのも時間の問題です。
目の日焼けだと思っておいてください。
波長290nm付近の紫外線を受けると、6時間~12時間で痛みが出てくることもありますよ。
紫外線と言えば太陽からの光ですが、さまざまなところで紫外線はあるものです。
美容院などの紫外線や殺菌灯、アーク光を発する溶接現場など紫外線を扱う場所は注意しなければなりません。

2‐2.裸眼で紫外線を見る

工事現場で溶接をする際、決して裸眼でしてはいけません。
裸眼でアーク光など紫外線を見ると角膜に傷がついてしまいます。
実際、裸眼で作業をしたせいで電光性眼炎になったケースは多いのです。
きちんと大切な目を保護しているかどうか、改めて現場を見直さなければなりません。また、何度も電光性眼炎をくりかえしていると視力の低下、失明の原因になってしまいます。
くりかえさないように対策をたてることも大切です。
もし、電光性眼炎の症状が現れた場合は、できるだけ安静にしてください。
痛みに耐えることができないのなら、一般の鎮痛薬を服用するのも1つの対処法です。
原因がわからない場合は、病院・クリニックで検査を受けましょう。

3.電光性眼炎の予防と治療法

3‐1.紫外線に触れる場合は保護具を身につける

電光性眼炎は、日ごろの対策で未然に防げます。
主な原因は「紫外線」になっているため、紫外線に触れるときは“保護具”を必ず身につけてください。
たとえば、溶接時アーク光が出てきます。
アーク光を裸眼で見ては角膜に傷がついてしまうのです。
裸眼で作業をするのではなく、ゴーグルなどを身につけて目を守りましょう。
直接アーク光を見ない対策が必要です。
紫外線を扱う現場には必ず保護具を置いておきましょう。
保護具の管理も徹底してくださいね。サングラスやゴーグルは必要不可欠なアイテムになります。
現場で道具が足りているかどうか、衛生管理者は定期的に点検をしてください。
現場の管理を整えるのも大切な役割の1つです。

3‐2.電光性眼炎の治療法

目に激しい痛みやまぶしさを感じたとき、翌日に治れば問題ありません。
しかし、数日症状が続くようであれば角膜に傷がついている可能性があります。
専門の病院やクリニックに行って専門的な治療を受けなければなりません。
電光性眼炎の治療法は、症状に合った目薬を利用します。
市販の目薬でもいいと思いがちですが、医療施設から処方する目薬のほうが効果的です。
目の痛みについては鎮痛薬を使います。
通常、数日で症状が緩和するでしょう。
病院・クリニックでの専門的な治療は必要ですが、日々の生活においても注意してほしいことがあります。
紫外線が原因で目が炎症を起こしているため、紫外線を防ぐことも大切です。そとに出るときはできるだけ紫外線をあびないようにしてください。
普段でもかけることができるサングラスや発する紫外線の量に合ったゴーグルが必要です。
原因をしっかり把握して適切な治療を受けていきましょう。

4.まとめ

電光性眼炎の症状や原因、予防と治療法について説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
衛生管理者は現場で働く従業員の健康を守らなければなりません。
特に、アーク光など紫外線を扱う作業場では「電光性眼炎」に要注意です。
電光性眼炎の主な原因は“紫外線”になります。
過剰な紫外線の影響によって目の角膜に傷がつくでしょう。
皮膚の日焼けと似た症状が、目に起きていると考えてください。やけどによって激しい痛みがともない、まぶしさを感じてしまいます。
通常は翌日になれば治りますが、痛みが続く場合は専門的な治療を受けたほうがいいでしょう。
症状・原因に合った治療法で少しずつ症状をやわらげていきます。
治療のタイミングが長引くほど痛みが残ってしまうので注意してください。できるだけ早めに処置をしましょう。