電離放射線とはどんなもの?種類や健康への影響をご紹介します。

電離放射線とは聞きなれない言葉ですが、これを扱っている職場は思いのほか多いのです。
放射線というと健康に悪影響が出るものというイメージがありますが、それは間違ってはいません。
そこで、今回は電離放射線の種類と健康への影響をご説明します。
放射線は体に悪影響を与えることがはっきりと分かっている物質です。
しかし、その性質を利用している職場はたくさんあります。
電離放射線を扱う方の健康を守るために職場ができることは何でしょうか?
答えは、この記事を読めば分かりますよ。

  1. 放射線とは?
  2. 電離放射線とは?
  3. 電離放射電の健康被害とは?
  4. 電離放射線を取り扱う職場とは?
  5. 放射線を取り扱っている人の健康を維持する方法とは?
  6. おわりに

1.放射線とは?

放射線とは、高い運動能力を持った粒子の流れや電磁波のことを指すのです。
といっても、これだけでは理解できる方は少ないと思います。
放射線と聞くと、「健康に害のある怖いもの」をイメージする方もいるでしょう。
また、放射能と何が違うの?と疑問に思う方もいると思います。
放射能とは正確にいうと放射線を出す能力のことです。
ですから、能力の「能」の字が使われています。
さらに、放射線は体に無害な非電離放射線と健康に害がある電離放射線の2つがあるのです。
非電離放射線には、電波、赤外線、可視光線などがあります。
電波とは、テレビやラジオ、さらに携帯電話や無線に利用されている電波のこと。
電波を受信することでテレビは画像を映し出しますし、ラジオは音声を流せます。
また、可視光線とは目に見える光のこと。
太陽の光から電灯まですべて可視光線になるのです。
では、電離放射線とは何でしょうか?
次の項で詳しくご紹介します。

2.電離放射線とは?

この項では、電離放射線の種類や性質についてご紹介します。
健康に被害を与えるリスクがある一方で、いろいろな産業で利用されているのです。

2-1.電離放射線の種類とは?

電離放射線はα線、β線、紫外線、γ線、中性子線があります。
その中で最も知名度が高いのが、紫外線でしょう。
紫外線は太陽光の中に含まれている放射線で、日焼けの原因になります。
なぜ、紫外線が健康に有害なの?と思う方もいるでしょう。
実は、日焼けというのは、皮膚がやけどをした状態なのです。
海など日差しが強い場所に肌をむき出しにしていると、真っ赤になってしまうことがあります。
これは、皮膚がやけどをした状態。
ですから激しく痛むのです。
長年強い紫外線にさらされていると、皮膚がんのリスクがアップします。
また、日に焼けると皮膚が黒くなるのは、メラニン色素が形成されるためです。
メラニン色素は紫外線をカットする役割を担って(になって)います。
つまり、人体が持っているバリアのようなものです。

2-2.電離放射線を利用状況とは?

さて、電離放射線は私たちの暮らしのいろいろな場所で利用されています。
たとえば、γ線は非常に似た性質を持つX線とともに、医療の現場で使われているのです。
レントゲンは人体にX線が透過する仕組みを利用したもの。
γ線もがんの放射線治療などで使われています。
さらに、紫外線は消毒や植物の育成を抑制するために使われているのです。
たとえば、食器や調理器具の消毒やジャガイモなどの発芽の抑制などは紫外線を照射して行います。
さらに、中性子線は、物質を壊さずに内部を検査する「非破壊検査」や中性子線に含まれている粒子か透過するか反発するかで、物質の原材料を確かめる解析に利用されているのです。
また、原子力発電も放射線や放射線物質が使われています。

3.電離放射電の健康被害とは?

この項では、電離放射線の健康被害についてご紹介していきます。
いったいどのような症状が出るのでしょうか?

3-1.急性放射線障害

急性放射線障害とは、強力な電離放射線を浴びて半日~1日後に現れる一連の障害を指します。
ちなみに、放射線を浴びることを「被ばく」というのです。
症状は悪心、おう吐、けんたい感、さらに脱毛ややけど、造血細胞の減少などが挙げられます。
急性放射線障害が発生した例といえば、1999年の東海村JOC臨界事故が有名です。
この事故では、作業員2名が、放射線障害で亡くなりました。
通常の職場では命の危険があるほどの急性放射線障害が発生することはまずありません。
しかし、原子力発電所や放射線や放射線物質を使っている研究室などでは、発生する可能性があります。

3-2.慢性放射線障害とは?

慢性放射線障害とは、電離放射線を長期間浴びたことでDNAが損傷を受けて発症する障害のことです。
代表的な症状は、がんの発生率の増加。
がんとは、本来ならできそこないとして消滅するはずの細胞が、何らかの原因で増殖して内臓や血液が正常に働かなくなる病気です。
心臓など一部の臓器を除いて、ほとんどの臓器や血液で発症し若い人ほど進行が早い傾向にあります。
また、精子や卵子のDNAも傷つきますので、不妊や妊娠異常なども起こりやすくなるのです。

4.電離放射線を取り扱う職場とは?

電離放射線を取り扱う職場はたくさんあります。
皆様がイメージしやすいのは、医療機関や原子力発電所でしょう。
しかしそれ以外にも、検査を請け負う企業、大学の研究室などでも取り扱っています。
さらに、電離放射線は宇宙からもふりそそいでいるのです。
地球には大気がありますから、地上で暮らしている分には影響を受けることはほとんどありません。
しかし、成層圏に近い場所を飛ぶ飛行機やスペースシャトルなどは、宇宙からふりそそぐ放射線の影響を受けます。
ですから、パイロットやキャビンアテンダント、さらに宇宙飛行士も放射線の影響を受けやすい仕事といえるでしょう。

5.放射線を取り扱っている人の健康を維持する方法とは?

労働基準法では、放射線業務に常時従事する労働者で、管理区域に立ち入る者に対し、6か月に一度健康診断を行わなければならない、と定めています。
これを電離放射線健康診断の実施義務というのです。
なお、健康診断の項目も決まっていますので衛生管理者の方は、しっかりと把握しておきましょう。
これに従わない場合は法律に従って処分を受けるのです。
また、電離放射線を扱う区域を厳格に定め、放射線物質の管理も厳しく行います。
病院に行くと、ドアに放射能のマークが貼ってあるのを見たことがある方もいるでしょう。
これが、管理区域の照明です。
また、放射線技師など電離放射線を扱う資格が必要な職場もあります。
さらに、年間の被ばく量は法律で定められており、原子力発電所で働く人も、被ばく量を超えるとそれ以上仕事ができません。

6.おわりに

いかがでしたか?
今回は電離放射線の種類や健康への影響などについてご紹介しました。
電離放射線を扱う仕事というと、原子力発電所での作業のようなものをイメージする方も多かったのではないでしょうか?
しかし、電離放射線を扱う仕事は、私たちの身の回りにたくさんあるのです。
だからこそ、衛生管理者は従業員の健康管理をしっかり行わなくてはなりません。
また、安全管理者とも協力して従業員教育にも力を入れましょう。
前述した東海村の臨界事故は、作業時間を短縮するために従業員が勝手に作った裏マニュアルに従って作業をしていたことが原因でした。
電離放射線は色も熱も臭いもありません。だからこそ、自分がどれだけ被ばくしているかが分かりにくいのです。
自分たちが扱っている物質の恐ろしさが分かれば、健康管理にもより気を使うようになるでしょう。