食中毒の原因は?ブドウ球菌による食中毒の詳細と予防法を紹介します。

cd01009e-f175-4875-84b3-6d06b40ae799ある一定の時期に騒がれる「食中毒」ですが、年中を問わずに発生します。その原因のひとつが「ブドウ球菌」です。今回は、このブドウ球菌に注目してみましょう。どういった経緯で感染し、どうすれば予防できるのかお教えします。

  1. ブドウ球菌の種類
  2. ブドウ球菌による食中毒の症状
  3. ブドウ球菌食中毒の予防策

1.ブドウ球菌の種類

ブドウ球菌といっても、正しくは「ブドウ球菌属」といい種類があります。現在は36菌種19亜種に分類され、私たち人間はもちろんのこと動物など広く分布。ブドウ球菌は、ブドウの房のような特徴的な形状からその名がつきました。そんなブドウ球菌の中でも、身近な種類をいくつか紹介します。

1-1.黄色ブドウ球菌

主に、鼻の中に常在している菌です。ブドウ球菌の中でも特に感染力の高い種類で、体の弱っていない健常者にも症状を引き起こします。とはいえ、菌自体が少なければ毒性はそこまで強くありません。
基本的には、化膿(かのう)を伴う疾患ですが、それ以外にもさまざまな疾患を引き起こす可能性があるでしょう。肌の表面や鼻の中で増殖すること自体は問題なく、傷などから体内に侵入した場合に発病します。

1-2.表皮ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌と同様に、鼻の中や皮膚の表面に常在しています。この種類は、基本的に感染症を引き起こすことはなく、逆に肌の表面を健康に保つ役目を担っている菌です。ただし、プラスチックにも付着するため手術で使われる医療器具が原因で体内に侵入すると、深在性の化膿(かのう)症を起こします。

1-3.腐性ブドウ球菌

基本、泌尿器周りの皮膚に常在している種類です。尿路に侵入すると尿路感染症を引き起こします。

2.ブドウ球菌による食中毒の症状

私たち人間はブドウ球菌に対して抵抗力が高く、自然免疫が備わっているといわれています。たとえ、感染し化膿(かのう)した場合でも、白血球のおかげで蔓延(まんえん)しません。局所的な症状だけで済むことがほとんどです。しかし、子供やお年寄り、免疫力の落ちた人が感染した場合に重症化してしまう可能性があります。

ブドウ球菌による食中毒は、上記で紹介した「黄色ブドウ球菌」によるものです。食べ物に付着し増殖することで「エンテロトキシン」という毒素を作ります。その毒素は腸管毒(ちょうかんどく)といわれ、口にすると約3時間で急性胃腸炎を引き起こすでしょう。

2-1.症状の出方

潜伏期間は3時間程度で、遅くとも5時間以内になにかしらの症状が出てくるでしょう。唾液が増えて、吐き気や嘔吐(おうと)が発生します。さらに、しばらくすると腹痛や下痢といった症状が遅れて現れるのです。
軽症の場合は吐き気などで終わりますが、重症になるとひどい嘔吐(おうと)と水のような下痢で脱水症状を起こすほど。発熱を伴う場合もあり、さらに悪化すると意識がはっきりしなないなど脈拍も弱くなります。ここまでくると緊急入院が必要になり、早急な対応が必要です。
ただ、通常は一過性のもので3日もあれば回復します。死亡する可能性は極めて低いのでご安心ください。

2-2.治療方法に関して

抗菌薬など、何か薬を飲めば症状が治まるように思いますが、実は特別な治療を必要としません。重症の場合には、脱水症状の改善のための点滴や脈拍管理をしますが、通常は症状が治まるまで待つだけです。下痢止めなども一切使いません。ちなみに、嘔吐(おうと)物からうつる可能性は低いですが、傷などがある場合は注意しましょう。

3.ブドウ球菌食中毒の予防策

発症してしまったら、ただひたすら回復を待つだけというブドウ球菌食中毒。できれば感染したくありませんね。予防する方法はあるのでしょうか。
ブドウ球菌による食中毒を予防するには、個人レベルでの管理ではなく食品の製造業者や従事者への衛生教育がなにより大切です。

  • 手洗いの徹底
  • 食品の温度管理(10℃以下での保存など)
  • 手指に化膿(かのう)する傷がある人は、直接触れず調理をしないこと
  • 調理する際には、必ずマスクと帽子を着用する
  • 加工から消費までの時間を短縮することを心がけること

上記のような対応が求められます。現代は、日持ちする加工食品が多いため、食品が消費者の元に届く前にすでに汚染されている場合がほとんどです。どういった食品が原因になりやすいのか、一部ですが挙げてみたいと思います。

  • 牛乳やクリームなどの乳製品類
  • 卵製品
  • 肉やハムなどの加工品類
  • 弁当などのそのほか加工品
  • ちくわなどの練りもの類
  • シュークリームなどの洋菓子類

基本的に、調理などの際に素手で取り扱うものが多いようです。

では、個人ができる予防策はどういったものでしょうか。
黄色ブドウ球菌の本体は、熱に弱く1分加熱するだけで死滅します。しかし、その毒素はどんなに加熱しても無毒化しません。できる予防は製造業者と同様ですが、下記のとおりです。夏場などは特にはやる時期ですので、いつも以上に注意しましょう。

  • 手にけがや発疹(ほっしん)などがある場合は、食品に触らない
  • 手指の洗浄と殺菌
  • 調理器具の洗浄と殺菌
  • 食品の保管は低温で
  • 虫やネズミなどの害獣対策を行う

まとめ

いかがでしたでしょうか。食中毒といってもその原因菌の種類は豊富で、よく耳にするのは「サルモネラ菌」「大腸菌」「腸炎ビブリオ」「赤痢菌」「コレラ菌」「ボツリヌス菌」などがあります。その中でもっとも身近な「ブドウ球菌」について紹介しました。今回は「菌」に限って説明させていただきましたが、ほかにもウイルス性や自然界にある毒物による食中毒、化学物質や寄生虫などもあります。原因によって必要な予防策は違い、加熱すればいものもあればそれだけでは足りないものも。ひとことで食中毒といっても、原因はさまざまだということです。

当たり前のように皮膚の表面に付着しているような菌が、ちょっとしたきっかけで食中毒を引き起こすと思うと怖いと感じます。しかし、それだけ身近な菌ですから、日々正しく接していれば悪さをすることはないということでしょう。感染してしまってからでは、対症療法しかなくつらい思いをするだけです。未然に防ぐためにも、予防策を取りましょう。市販品の場合でも信用しすぎず、販売されている環境などに目を配ることをおすすめします。特に、小さなお子様や高齢者のいるご家庭は気をつける必要があるでしょう。