疑問氷解! 安全衛生推進者になるにはどんな資格が必要?

労働者は、安全にそして衛生的に働ける権利があります。しかし、職種によっては努めて職場管理を行わないと安全と衛生がたもてないところもあるでしょう。そのために安全管理者や衛生管理者の選任が必要ですが、従業員の数によっては選任が難しいところもあります。そんな職場で選任されるのが安全衛生推進者です。

そこで、今回は安全衛生推進者の役割や選任されるために必要な資格などをご紹介します。

  1. 安全衛生推進者とは?
  2. 安全衛生推進者の具体的な職務とは?
  3. 安全衛生推進者になるためには?
  4. 安全衛生推進者の選任資格を得ることのメリット
  5. 安全衛生推進者の資格を取得するには?
  6. 労働衛生・労働安全コンサルタントとは?
  7. 衛生管理者の資格とは?
  8. ​安全衛生推進者に関するよくある質問

安全管理者や衛生管理者になるには、講習を受けたり資格が必要だったりしますが、安全衛生推進者はどうでしょう。安全衛生推進者を専任しなければならない職場の方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

1.安全衛生推進者とは?

安全衛生推進者とは、従業員の勤務形態にかかわらず常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業所で選任しなければならないものです。たとえば、正社員1名にパート48名でも選任が必要になります。

また、短期のパートを増加する場合も一定期間条件を満たせば、選任が必要になるのです。
安全衛生推進者とは、安全管理者と衛生管理者の仕事を兼ねたような職務で、労働者の安全と健康のために教育や職場管理、巡視、さらに健康診断の計画と実施などを行います。
安全衛生推進者は、必要と判断されたときから14日以内に選任し、従業員に分かるように告知をしなければなりません。しかし、衛生管理者とは異なり労働基準監督署長への報告書提出義務はなく、違反しても罰則はないのです。

ただし、だからといって選任をしなければ労働災害が起こった場合、経営者や現場の責任者が責任を追及されるでしょう。ですから、安全衛生推進者の選任は従業員だけでなく経営者のためにも選任はしっかりと行ってください。

2.安全衛生推進者の具体的な職務とは?

労働安全衛生者になると、具体的な職務として

  • 労働者の危険または健康障害を防止するための措置に関すること
  • 労働者の安全または衛生のための教育の実施に関する健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること
  • 労働災害の原因の調査および再発防止対策に関すること
  • 安全衛生に関する方針の表明に関すること
  • 建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等によるまたは作業行動その他業務に起因する危険性または有害性等の調査およびその結果に基づき講ずる措置に関すること
  • 安全衛生に関する計画の作成、実施、評価および改善に関すること

となっています。安全管理者と衛生管理者を合わせたような職務、といわれてもうなずけるでしょう。

3.安全衛生推進者になるためには?

安全衛生推進者に、全くの未経験者を専任することはできません。労働安全・労働衛生コンサルタントの資格を取得しているか、学歴によって1年~5年、安全衛生の実務についているもの。そして、安全衛生推進者養成講習・衛生推進者養成講習を修了したものです。実務経験が足りない人しか職場にいないという場合は、講習を受講してもらいましょう。

また、実務経験を満たしている場合は、「安全衛生推進者能力向上教育」を受ければ選任できます。なお、安全衛生推進者は基本的に専属ですが、労働安全・労働衛生コンサルタントの場合は、その限りではありません。ですから、一時的に労働安全・労働衛生コンサルタントに安全衛生推進者に就任してもらい、社員教育がすんだ後に交代するということも可能でしょう。

4.安全衛生推進者の選任資格を得ることのメリット

この項では、安全衛生推進者の選任資格を得るメリットをご紹介していきます。いったいどのようなときに役に立つのでしょうか?

4-1.安全衛生推進者が必要とされる職場は?

安全衛生推進者が必要とされる職場は、林業・鉱業・建設業・運送業・清掃業・製造業(ものの加工業を含む)・電気業・ガス業などです。ごく一部の業種を除けばほとんどの業種に安全衛生推進者は必要になります。

また、一営業所の規模が50名を超える企業よりも、50名未満の企業の方が多いのです。有害物質を扱う業者など危険が伴う仕事の場合は、50名未満のところでも安全管理者や衛生管理者を置くこともあるでしょう。しかし、ごく普通の職場の場合は、安全衛生推進者がいれば十分です。そのため、衛生管理者や安全管理者よりも需要が高いでしょう。

4-2.就職のメリット

労働衛生進者は、安全衛生に関する実務経験があるか、講習会を修了しておく必要があります。つまり、安全衛生推進者になったという実績があれば、安全衛生に関する仕事を任せられるという証明にもなるでしょう。ですから、安全衛生に関する職務ができる人を求めている職場からは、需要が高いです。

また、安全衛生推進者になったことがあるということは、衛生管理者の受験資格も持っている方が多いということ。ですから、衛生管理者を求めている企業からも需要が高いでしょう。資格手当などで給料がアップする可能性もあります。

5.安全衛生推進者の資格を取得するには?

では、安全衛生推進者の資格を取得するにはどうしたらよいのでしょうか? この項では、安全衛生推進者の資格を取得する方法をご紹介していきます。講習などはどこで受けられるのでしょうか?

5-1.実務経験はどのくらい積めばいいの?

安全衛生推進者になるには、安全と衛生の両方の実務経験が必要になります。必要な実務経験が学歴によって変わり、最長で5年、最短で大学や高等専門学校を卒業した人の1年です。これだけの実務経験があれば、安全衛生推進者に選任されます。

5-2.安全管理と衛生管理の違い

安全管理というのは、仕事場の環境や器具を点検し、従業員を教育することによって労災事故が起きないように仕事ができる環境を整える仕事です。ですから、「ヒヤリ、ハット」を防ぐ方法ですとか、整理整頓の指導なども行います。

一方衛生管理というのは、従業員が健康に衛生的に仕事をできるように職場環境を整える仕事です。健康診断の計画と実行が代表的な職務ですが、それ以外にも必要ならば職場の空気や水の調査、さらに週1回の職場巡視なども職務になります。

5-3.講習の種類と内容について

安全衛生推進者になるには、実務経験を積んだ後で初めて選任される際、「安全衛生推進者能力向上教育」を受けます。また、実務経験がない、もしくは足りない場合は「安全衛生推進者養成講習」を受講する必要があるのです。講習は2日間にわたって行われ、修了すれば安全衛生推進者として選任を受けられるでしょう。

さて、この講習ですが、都道府県によって開催場所や主催者がいます。この講習は、「都道府県労働局長の登録を受けたものが行う講習」に当たるのです。そのため、自治体によって受講できる場所や業者が異なります。詳しくは、会社がある自治体の労働基準監督署に問い合わせてみてください。厚生労働省のホームページに、全国の労働監督署の所在地一覧があります。

5-4.講習を受ける方法

講習を受ける方法は、各自治体によって異なります。事前申し込みのところもありますし、受講者が多い企業ならば、業者が出張して行ってくれるところもあるでしょう。受講料は1万円前後になります。

6.労働衛生・労働安全コンサルタントとは?

6-1.労働衛生コンサルタント

労働衛生コンサルタントとは、労働安全衛生法第83条に基づく労働衛生コンサルタント試験(国家試験)に合格した人です。この試験に合格すると、報酬を受け取って労働者の衛生水準の向上を図るために、事業場の衛生についての診断およびこれに基づく指導ができます。つまり、独立が可能になるのです。

ちなみに、衛生管理者や安全管理者、さらに安全衛生推進者はその職場に専属していなければなりません。しかし、労働衛生コンサルタントの場合は、独立して複数の職場に診断や指導にいけるのです。

6-2.労働安全コンサルタント

よく似た資格に労働安全コンサルタントというのがありますが、この場合は「衛生」が「安全」になっただけで職務の内容は同じになります。労働衛生コンサルタントになるには、最長で10年、最短で5年衛生管理の実務経験を積んだ方や、歯科医師や医師、薬剤師の資格が必要です。

労働安全コンサルタントになるには、技術士・第一種電気主任技術者などの資格を有するか、大学の理系の学科を卒業した後で、安全管理計画の立案などを5年以上やった方に受験資格が与えられます。労働安全コンサルタントの方が、受験資格を得るのは厳しいですね。しかし、その分労働衛生コンサルタント、労働安全コンサルタントに依頼すれば、前述したように専属でなくても、安全衛生推進者になってもらえます。

7.衛生管理者の資格とは?

衛生管理者とは50名以上の従業員がいる職場で、選任が義務づけられている国家資格保持者です。安全衛生推進者が行ってきた仕事のうち、「衛生管理」の仕事を専門で行います。国家資格ですし、大企業ほど需要が高いので安全衛生推進者の経験を積んだ方は、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

8.安全衛生推進者に関するよくある質問

Q.安全衛生推進者を専任する余裕がありません。どうしましょう?
A.外部の労働安全・労働衛生コンサルタントに依頼してください。

Q.職場の人数が15人しかいませんが、選任が必要でしょうか?
A.必要です。

Q.男女どちらが安全衛生推進者になってもよいのでしょうか?
A.性別や年齢は関係ありません。

Q.衛生管理者は安全衛生推進者になれますか?
A.安全管理の経験がない場合は、講習を受講してください。

Q.講習会は1日で終わりますか?
A.2日かかりますので、必要ならば有休を取りましょう。

まとめ

いかがでしたか?今回は安全衛生推進者についてご紹介しました。ついつい忘れられがちな職務ですが、重要な仕事です。必ず選任しましょう。