【初心者必見】衛生管理者の届出・選任報告を3項目で徹底解説!

衛生管理者が管理する職場環境は、従業員の健康を維持し、能率を上げます。そのほか、備品等の劣化も防止できるでしょう。ですが、だれも管理する者がいない場合、清掃が不十分であったり、室内の空気が悪かったりします。従業員の能率も下がり、健康を損なう可能性もあるでしょう。そのため、基準を満たした事業場には衛生管理者の選任が法律で義務付けられており、違反すると厳しい罰則を受けることになります。とはいえ、届出や選任報告について身近に詳しい方がいるとは限りません。法律で定められているからこそ、滞りなく手続きは済ませたいものです。そこで、今回は衛生管理者の届出について3項目でまとめてみました。

  1. 衛生管理者の選任義務について
  2. 衛生管理者の届出義務について
  3. 衛生管理者の届出・選任報告をする方法
  4. 衛生管理者の届出にかかわるよくある質問
  5. まとめ

情報は初心者の方にもわかりやすく1からまとめています。最後までお読みいただければ、衛生管理者の届出・選任報告について理解できるので、順を追って見ていきましょう。

1.衛生管理者の選任義務について

最初の項では、衛生管理者における選任義務について基本的な事柄をまとめます。選任する基準とは一体なんなのでしょうか?

1-1.選任義務とは

特定の人を選んで任に就かせることを“選任”といい、選任義務はこの選任を絶対条件とします。多くが生命・財産を守るためであり、特殊な技能や知識がなければ安全に業務を遂行できない仕事などで選任義務が発生するのです。

1-2.選任が必要な職場

50人以上の従業員を常時働かせている職場では衛生管理者を配置しなくてはいけません。ましてや衛生管理者ですと、活躍する場所は飲食店をはじめ、一般的なオフィスなど多岐にわたります。事務仕事だけの職場でも給湯室や休憩室をはじめ、夏場や冬場における室内の空気管理など、見るべき箇所は多いからです。
労働安全衛生法で「労働環境の衛生的改善と疾病に対する予防処置」は義務付けられています。衛生管理者は職場の衛生管理全般を担う国家資格であり、前述した職場では欠かせない存在・資格です。

1-3.選任基準

  • 衛生工学衛生管理者免許
  • 第一種衛生管理者免許
  • 第二種衛生管理者免許

上記の免許を所持していることが衛生管理者の基準です。衛生工学衛生管理者免許だけ特別で、「※一定の基準」を満たした人が講習を受けたのち、修了試験に合格することで免許取得となります。ただ、現在は実施している機関は多くありません。一方、第一種・第二種の衛生管理者免許は、厚生労働大臣の指定した“試験機関”で実施される試験に合格することで取得可能です。指定試験機関は「財団法人安全衛生技術試験協会」となり、全国に7か所の会場があるほか、出張試験もおこなっています。
※大学や高等専門学校で、工学または理学に関する課程を修めて卒業した者。

2.衛生管理者の届出義務について

衛生管理者を選任したら終わりではありません。「選任した」という報告をする必要があるのです。この項では、衛生管理者の届出について基本の情報をまとめ、次項でその方法を解説します。

2-1.届出の必要性

衛生管理者の選任は、所轄の労働基準監督署長に“選任報告”をして初めて認められます。このことは非常に重要ですので覚えておいてください。きちんと選任報告をして認可を受けないと、選任義務を怠ったケースと同様の処罰を受けます。

2-2.届出をしないとどうなるか?

衛生管理者の選任義務を怠ると、労働安全衛生法に反し、事業の責任者が処罰を受けます。50万円以下の罰金をはじめ、司法処分を受けることになるため、軽視してはいけません。なお、罰せられるのは選任報告に関する事柄に限らず、下記のケースでも同様に罰則を受けます。

  • 衛生管理者が業務を怠る
  • 保存義務のある書類を紛失・処分する
  • 体調不良で体を休める必要がある人を無理に働かせる

3.衛生管理者の届出・選任報告をする方法

具体的に選任報告の方法を解説します。衛生管理者の選任報告は一体どこにすればいいのでしょうか? 届出に必要な書類についてもまとめます。

3-1.届出の手順

衛生管理者の選任義務が生じてから、“14日以内”に担当者を選任する必要があります。そして、選任報告は遅延なく事業者がすることと定められているため、届出は14日以内にする必要があると認識しておいた方が良いでしょう。選任報告は所轄の労働基準監督署でおこないます。

  • 第一種または第二種の衛生管理者免許証の写し
  • 医師である場合は医師免許等の写し

上記の書類が必要であり、提出は2です(1部は控え)。窓口で直接提出するほか、郵送でも対応してくれます。“受付印が押された控え”を希望する場合は、返信用の封筒も同封する必要があるので忘れないようにしましょう。また、現在は電子提出での届出も可能です。24時間365日受け付けていますので、忙しい方など、時間を確保できない場合はぜひ利用してみてください。必要書類をスキャナーなどで電子ファイルに変え、添付するだけですので簡単に済ませることができます。(電子届出のフォーム

4.衛生管理者の届出にかかわるよくある質問

この項ではインターネットを介して寄せられるお問い合わせ内容をまとめてみました。衛生管理者とその届出についてお悩みの方は参考にしてみてください。

Q.衛生管理者は1人いれば問題ありませんか?
A.アルバイト・パートに関係なく、労働者数が50~200人の場合は1人で大丈夫です。ただし、人数が増えるにつれて必要業務も増えます。200~500人では2人、500人以上で3人、1000人を超えれば4人と必要人数が増員されるので注意してください。大企業であればあるほど衛生管理者は必要とされます。

Q.衛生管理者を選任する事業場の基準は?
A.労働安全衛生法施行令第5条において、「常時50人以上の労働者(アルバイトやパートも含めて)を使用する事業場」と明記されています。つまり、業務時間の大半を外での作業に費やしているなど、「普段からオフィスや事業場を利用していない従業員」は、前述した50人から除外して良いということです。

Q.衛生管理者の試験を受ける条件は?
A.労働衛生の実務に携わっていることが絶対条件です。大学・高等専門学校を卒業して1年以上の実務に携わっていれば問題ありません。そのほか、大学等を卒業していなくても、「高等・中等教育学校を卒業して3年以上の実務を積んだ方」「10年以上の実務に携わった方」にも受験資格が与えられます。

Q.衛生管理者の選任が間に合わない場合はどうすれば良いですか?
A.やむをえない理由がある場合、所轄都道府県の労働局長に申し出てください。労働局長の許可を得れば、期日である14日を過ぎても問題ないとされます。

Q.衛生管理者が辞めてしまい、現在代理の者がいません。この場合、資格を取得する予定のある社員の名前で選任報告をしても支障ないでしょうか?
A.あくまで衛生管理者の報告です。取得する予定があるのだとしても、免許を所持していないと虚偽報告になる可能性があります。所轄都道府県の労働局長に申し出て、代理の者でも問題ないか確認してみてください。労働安全衛生法の第8条の「やむをえない事由」に該当し、1年以内という期限が付きますが、代理者を立てれば認めてくれると思います。

5.まとめ

最後まで記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。衛生管理者の届出・選任報告についてまとめてきましたが、いかがでしょうか? 選任報告と聞くと難しく考えてしまいますが、実際の手続きは至ってシンプルです。注意すべきは14日という期限、そして、届出自体を忘れないことになります。すでに予定が詰まっている方は、郵送・電子提出をうまく利用し、早めに選任報告を済ませてしまいましょう。