
【注目】照度基準について知りたい人へ!JISの照度基準を詳しく解説!
私たちの暮らしは、あらゆる場面で明かりに照らされているものです。明かりがあることで文字・形・色など、さまざまな情報を得ています。しかし、どこまで明るくすれば適切であるのかは、場所やシチュエーションによって大きく異なるものです。そこで、今回は、照度基準について詳しく解説します。基本のJIS照度基準や新しい基準の目的や理由などについて、理解しましょう。
この記事を読むことで、照度基準に関する正しい知識が身に付き、適切に活用できるようになります。場所やシチュエーションごとに適切な照度を設定できるので、日常生活や仕事が快適になるでしょう。とても役に立つ内容なので読んでみてください。
1.照度基準の基礎知識
最初に、照度基準の基礎を身に付けましょう。目的・重要性・関連法規などを解説します。
1-1.照度とは
照度とは、物体の表面と照らすときの明るさを表したものです。照度が高いときは明るく、低いときは暗くなります。照度は、照明器具に近い方が高く遠い方が低くなるため、一定の照度を求めるときは、照明器具の種類・明るさ・距離を考えて配置する必要があるのです。
1-2.照度基準とは
照度基準とは、特定の場所・作業内容において適切な照度を定めたものです。照度規準を満たすことで、作業効率をよくし、人へのストレスが少ない環境を満たすことができます。なお、照度基準を正しく理解することは、労働者の安全衛生を確保するためにも重要なことです。
1-3.照度に関する法規について
照度に関連する法規には、「労働安全衛生規則」があります。労働安全衛生規則とは、労働者が職場において安全と衛生を確保するためのものです。具体的には、以下の基準を満たすように勧告しています。ただし、規定の数値は最低限度のものであるため、基準に合わせると実際にはそぐわない例もあるでしょう。
- 精密作業をする場合:300ルクス以上
- 通常作業をする場合:150ルクス以上
- 雑用をする場合:70ルクス以上
2.照度基準の詳細について
照度基準の詳細について学びましょう。JIS照度基準をはじめ、場所ごとの推奨照度の見方について解説します。
2-1.JIS照度基準について
JIS照度基準とは、空間の用途別・作業内容別に推奨照度を定めているものです。たとえば、場所によっても作業内容によっても、最適な照度は異なります。基準を設定することで、適切な設定をしやすくする目的があるのです。区分は多岐にわたり、工場・事務所・学校だけでなく、商業施設や駅舎・スポーツ施設なども参考にすることが可能になっています。
2-2.主な推奨照度を理解しよう
場所別の推奨照度を学びましょう。ここでは、工場・事務所・学校について解説します。
2-2-1.工場
工場では、多種多彩な製品を製造しています。また、作業内容も細かく分類していることが特徴です。主な作業や場所の推奨照度にかんしては、以下を参考にしてください。
- 精密機器工場での検査・選別など:1,500ルクス以上
- 一般的な工場での組み立て・検査など:500ルクス以上
- 倉庫内部での事務作業:300ルクス以上
2-2-2.事務所
事務作業を効率よく進めるためにも、適切な照度を維持し、作業員の疲労やストレスを抑えることが必要です。事務所に関する照度規準は、以下を参考にしてください。
- 設計室・製図室:750ルクス以上
- 事務室:750ルクス以上
- 会議室:500ルクス以上
- 休憩室:100ルクス以上
2-2-3.学校
学習環境を快適に維持するためにも、空間の目的に応じた照度基準を満たすことが必要です。主なものについては、以下をご覧ください。
- 製図室:750ルクス以上
- 実験実習室:500ルクス以上
- 教室:300ルクス以上
- 体育館:300ルクス以上
2-3.照度基準の見方について
照度規準は、主に維持照度(常に維持するべき照度)を見てください。照度は「ルクス」という単位で表示しています。そのほかにも、照度均斉度・屋外グレア制限値・平均演色評価数の項目を参考にしましょう。なお、それぞれの数値は、あくまでも最低限のものであるため、より高い数値になっても構いません。ただし、明る過ぎる環境も不適切となるので注意しましょう。なお、照度規準には、注記が付いていることがあります。注記も併せて参考にしてください。
3.照度基準の新しい基準について
新しい照度基準について解説します。基準の見直しを行った目的・理由などを学びましょう。
3-1.新しい基準について学ぼう
2016年に、新しい照度規準が打ち出されました。アンビエント照明(空間の明るさを確保するためのもの)・ターゲット照明(作業周辺を照らすためのもの)の2つに基づく方法です。2011年に起きた東日本大震災以来、照明環境の省エネ化を進めることが重要であるとの方針が固まりました。近年では、照明シミュレーションソフトの開発・進化によって、省エネを実現しながらも理想的な環境を実現できるようになっています。なお、新しい基準においては、照度偏重から輝度重視に変わってきている点にも注目です。
3-2.輝度について
輝度とは、一定方向からの光源の反射を目にしたときに感じるまぶしさのことです。輝度の単位は、平方カンデラ毎(まい)平方メートルで、空間の明るさや雰囲気を調整するときなどに参考にします。見る方向や物体の反射率に大きく影響を受けることが特徴です。
3-3.新しい基準の現状と今後
適切な照度基準は、作業環境の変化によって随時改定することが必要です。現在の基準が数年後も最適であるとは限りません。省エネ化は、ますます進むはずです。快適な環境を作るためにも。照度基準が改定になったときはすぐに対応できるようにしましょう。
4.照度基準に関するよくある質問
最後に、照度基準に関するよくある質問に回答します。それぞれ、実際につまずきやすい点ですからそれぞれ確認しておきましょう。
4-1.書類作業とパソコン作業で照度基準が違うのはなぜですか?
それぞれで、人が快適に作業できる明るさが異なるからです。パソコンの照度に合わせると、書類作業では明る過ぎます。また、書類作業の照度に合わせると、パソコンでは暗過ぎて疲れてしまうのです。それぞれの作業環境で、適切な照度を保つことで効率の良さがあがり、疲労しにくくなります。
4-2.照度基準に合わせるためには白熱灯・蛍光灯・LED灯のどれを選ぶべきですか?
どの光源を用いても構いません。照度規準は、あくまでも特定の物体を照らすときの基準だからです。光源の種類を限定するものではありません。ただし、光源の種類によって特質が異なるため、適切な照度および環境を実現するものを選ぶことが重要です。
4-3.事務所で一部照度基準を満たしていないところがあるのですが?
まずは、照度規準に満たない部分での作業は避けてください。同時に、できるだけ早急に基準を満たすように努力しましょう。光源の位置や種類を変更したり、事務所のレイアウトを変えたりしてください。なお、最も重要なのは作業をする場所における照度です。机上で基準に達していれば、床面で基準に達していなくても問題ありません。
4-4.照度以外にも気を付ける点はありますか?
照度だけでなく、輝度・グレア(パソコン画面の反射)にも気を付けましょう。視界に入るすべての光源において、適切な環境を維持できるように努力してください。照度不足だけでなく、照度が高過ぎても作業者にとって大きな負担となります。
4-5.照明器具の故障ですぐに交換できない場合の対処方法は?
照明器具が故障すると、適切な照度を確保できなくなります。対策としては、該当場所での作業を中止する、ほかの照明器具を一時的に試用するなどがあるでしょう。いずれの方法であっても、照度不足によって作業者にストレスが出ない状況を確保してください。
まとめ
今回は、照度基準について詳しく解説しました。快適な空間の演出・作業効率の向上などのためにも、照度基準に合わせた環境作りが大切です。まずは、場所ごとの設定基準を確認し、現状で対応できていないところを改善しましょう。長時間働くほどに、照度の影響を大きく受けるものです。特に、職場の労働環境を最適な状態に整えることは、労働者の健康を守るためにも必要となります。定期的にチェックし、常に最適な照度を保つようにしましょう。