工場の衛生管理のポイントは？ 主な項目や注意点を徹底解説します！

1．工場の衛生管理が重要な理由

最初に、工場の衛生管理が重要な理由について見ていきましょう。

1-1．製品の品質を維持する

製品の品質を維持するためには、工場の衛生管理が重要な意味を持ちます。高品質で安定した製品を作り続けるためにも、工場の環境を最適に維持することが必要です。作業環境が不適切だったりいい加減な方法で製造したりしていては、製品の品質が安定しません。製品の品質を高い水準で維持するためには、工場の衛生管理をあらゆるポイントから進めることが大切です。

1-2．生産効率を高める

工場の衛生管理を的確に行うことで、生産効率を高めることができます。短時間で多くの製品を生産できるため、人件費や光熱費などの削減につながるのもメリットです。また、生産効率が高くなれば、従業員に無理な勤務をさせる必要もなくなり、就業環境の改善にもつながります。

1-3．従業員の健康を守る

工場の衛生管理は、従業員の健康を守ることにもつながります。工場の空調や照度の管理をはじめ、休憩場所の確保なども衛生管理の仕事です。従業員が働きやすい環境に整え、労働災害を防いで健康を害さないように注意することも、健全な工場運営に必要になります。従業員にとって適切な労働環境を整えることで、工場の生産効率が高まり企業の利益アップに貢献できるからです。

1-4．従業員の意識を高める

工場の衛生管理は、従業員の意識を高めるためにも重要な意味があります。従業員一人ずつが高い意識を持って業務に当たることで生産効率が高まるほか、ケアレスミスを防ぐことも可能です。最初はうまくいかなくても、繰り返し教育することで徐々に理解が深まり、従業員に高い意識を持ってもらうことができます。

2．工場の衛生管理にはどんな項目がある？

工場の衛生管理にはどんな項目があるか、主なものを見ていきましょう。

2-1．作業現場の巡回

工場の衛生管理では、定期的に作業現場を巡回し、問題なく業務が進んでいるかチェックすることが大切です。細かなことで見落としがちな問題でも、定期的に巡回することで気付くケースもあるでしょう。また、突発的に発生した問題でも、早期に発見できればすぐ対処できます。作業現場の定期的な巡回は、工場の衛生管理に必要不可欠なのです。

2-2．工場の設備や作業方法・衛生状態の確認

工場の設備や作業方法・衛生状態が適切かチェックすることも、工場の衛生管理で必ず行うべき項目です。工場の設備に不具合があると、製品の不良率が高くなったり生産がストップしたりします。また、作業方法が不適切では、無駄な労力を使用することになるほか、思わぬ事故につながることもあるでしょう。工場の清掃がきちんと行われていなければ、異物混入や感染症などの原因になることもあります。

2-3．作業環境の調査および改善

工場の衛生管理では、作業環境が適切か調査したり改善したりすることも重要な項目です。作業環境の調査および改善によって、従業員が働きやすい環境を常に維持することができます。たとえば、作業現場の照度や温度・湿度は適切か、業務を妨げるほどの騒音がないか、有害物質の有無などが主なチェック内容です。

2-4．従業員の衛生教育

すべての従業員に衛生管理の大切さを理解してもらうためにも、従業員の衛生教育が必要不可欠です。経営層や管理職がいくら高い理想を持っていても、実際に現場で作業している従業員が理解していないのでは困ります。すべての従業員が正しい知識と高い意識を持って業務に取り組んでもらうためにも、質の高い衛生教育を行うことが必要です。

2-5．従業員の健康管理および健康診断の推進

工場の衛生管理では、従業員の健康管理や健康診断の推進も必要になります。従業員が健康であるからこそ問題なく作業でき、計画どおりに生産できるのです。従業員の健康管理をきちんとすることは、企業にとっても大切な項目といえます。また、従業員に健康診断の受診を推進することも、大切なポイントです。

3．工場の衛生管理で従業員が徹底すべきルールは？

工場の衛生管理で従業員が徹底すべきルールについて詳しく見ていきましょう。

3-1．基本ルールを守る

まずは、基本ルールを守ることが大切です。工場では、多くの従業員が働いています。それぞれが身勝手なことをしていては、まとまりがなくなって生産効率が大幅に低下することでしょう。また、すべての従業員が決まったルールを守れば、何らかの問題が発生したときに原因を突き止めやすくなるのもメリットです。

3-2．整理整頓を心がける

工場の整理整頓を心がけることも、従業員が徹底すべきルールです。工場内に不用品が多く、整理整頓ができていない状態では、業務に支障が出ます。作業の動線が悪くなるだけでなく、ものにつまずいたりぶつかったりして従業員がケガをする可能性もあるでしょう。工場を整理整頓することは、生産効率を高めるだけでなく、従業員の安全を守る意味でも重要なのです。

3-3．体調・服装・見出しなみの管理

従業員が高い意識を持ち、体調管理をきちんと行うことも重要なポイントです。中でも、感染症にならない・持ち込まないように気を付ける必要があります。体調不良の際は、無理をして出勤せず治療に集中することが大切です。また、毎日入浴する、手洗いをこまめにする、爪をきちんと切っておくなど、身だしなみを整えることも欠かせません。

3-4．問題が発生したら必ず報告することを徹底させる

工場で問題が発生したら、必ず報告することを徹底させましょう。従業員の中には、問題が発覚したことでペナルティーを受けるのではないかと考え、黙っている人もいるからです。どんな問題でも、発生した直後なら必要最低限の対応で済み、大ごとにならずに済みます。何かあったときにもすぐ報告できるよう、普段から相談しやすい雰囲気や組織作りをしておくことも大切です。

4．工場の衛生管理における注意点

工場の衛生管理をスムーズに進めるためには、いくつか注意点があります。

4-1．誰でも分かりやすい内容と表現を使う

工場の衛生管理をスムーズに進めるためには、誰でも分かりやすい内容と表現を使うようにしてください。難しい業界用語やカタカナ語・英語などで示しても、すべての従業員が理解できるわけではありません。まずは、従業員全員に工場の衛生管理の意味を理解してもらうことが必要です。そのためにも、なるべく簡単かつ分かりやすい内容と表現にすることを徹底しましょう。

4-2．抜き打ちチェックにより現状を把握・改善する

工場の衛生管理では、抜き打ちチェックも必要です。定期的にチェックするだけでは、本当に普段から衛生管理がきちんとできているか見抜けないことがあります。そこで、抜き打ちチェックにより、現状を把握することが大切なのです。このとき、何らかの問題を発見しても、従業員を責めるのではなく、なぜ問題が発生しているのか共に考えて改善していくようにしましょう。

4-3．勤務形態に関係なくすべての従業員に周知させる

定期的に衛生教育を行い、従業員に周知させることも重要です。従業員一人ずつが衛生管理の重要性を理解し、高い意識を持って業務に取り組むことで格段に状況が改善します。ポイントは、すべての従業員に教育を行うことです。パートやアルバイトなどの非正規社員はもちろん、派遣社員や業務請負で働いている人にも、平等に高い意識を持って取り組んでもらえるようにしましょう。

5．工場の衛生管理に関するよくある質問

最後に、工場の衛生管理に関する質問に回答します。それぞれ役立ててください。

Q．工場の衛生管理で参考にするとよい考えは？
A．たとえば、「5S」の考えを参考にすることをおすすめします。具体的には、以下のとおりです。

• 整理：不用品を片付けて処分する
• 整頓：使いやすく並べておく
• 清掃：キレイに掃除しておく
• 清潔：キレイな状態を維持する
• しつけ：キレイに使うことを習慣にする

Q．食品工場以外なら衛生管理に神経質になる必要はないのでは？
A．いいえ。たとえ食品を扱っていない工場でも、衛生管理を適切に行うことが必要です。衛生管理には、職場環境を適切に整えることや従業員の健康管理なども含まれます。

Q．工場の衛生管理を行うのに必要な資格は？
A．衛生管理者を取得しておくとよいでしょう。衛生管理者は最適な作業環境作りを進めるほか、従業員の健康管理などを行うのが主な職務です。なお、工場の衛生管理者として選任されるには、業種によって第二種でカバーできる場合と第一種の取得が必要になる場合があります。

Q．小規模な工場なら衛生管理者を選任しなくてよい？
A．労働安全衛生法では、常時50人以上の従業員がいる職場は、最低一人以上の衛生管理者を選任する必要があります。したがって、労働者が常時49人以下となる小規模な工場は、選任する義務はありません。しかし、工場の衛生管理を適切に進めるためにも、衛生管理者資格を持った人材に業務を依頼ことがおすすめです。

Q．工場の衛生管理に禁煙の推進も入る？
A．はい。喫煙は健康に大きな悪影響を与えるため、禁煙の推進も工場における衛生管理の一つといえます。また、喫煙しない人でも受動喫煙により健康被害を受けることがあるため、休憩所の分煙や屋外に喫煙所を設置することなども必要です。

まとめ

今回は、工場の衛生管理について詳しく解説しました。工場の衛生管理を適切に行うことは、生産効率を高めるだけでなく、従業員の健康を守ったり思わぬ事故を防いだりするためにも重要です。なお、実際に工場の衛生管理を行うには、衛生管理者などの資格が必要になります。現時点で未取得でも本気で工場の衛生管理をやってみたいのなら、衛生管理者の資格取得を目指してみるとよいでしょう。