感染症対策の基本! 企業で感染症を予防するために知っておきたいこと

企業が正しい知識を持って対処しなければならないこととして、感染症の問題が挙げられます。
感染症対策を間違えてしまうと大変な事態に陥ってしまうこともあるでしょう。

そこで、事業主や衛生管理者であれば必ず知っておきたい感染予防対策や感染症対策の基本についてご紹介します。
感染症対策には早急な対処が求められるため、現時点では特に知識が必要ない方も万が一の事態に備えてチェックしてみてくださいね。

目次

  1. 感染症の種類
  2. 感染症の予防
  3. 社員が感染症にかかってしまったら
  4. まとめ

1.感染症の種類

1-1.一類感染症

最も早急な対応・医師による届出が必要になるのが一類感染症です。

エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、天然痘(てんねんとう)、ペスト、南米出血熱、ラッサ熱、マールブルグ熱が一類感染症として指定されており、天然痘は痘そう(とうそう)とも呼ばれています。

感染力が強いだけでなく重篤になってしまう可能性や危険性がとても高いのが特徴です。
一類感染症にかかると、知事からの勧告により第一種感染症指定医療機関へ入院することになります。

1-2.二類感染症

急性灰白髄炎(きゅうせいかいはくずいえん)、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、鳥インフルエンザ(H5N1・H7N9)が指定されており、一類感染症と同じく早急な対処と医師による届出が必要です。

一類感染症に感染した場合は原則として入院しなければなりませんが、二類感染症では必要に応じて入院という形になります。
ただ、入院が必要ないと判断された場合も食品製造等の特定業務への就業制限がある点を理解しておきましょう。

1-3.三類感染症

コレラ、細菌性赤痢(さいきんせいせきり)、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフスが指定されています。
特に入院する必要性はありませんが、ただちに医師による届出が必要です。

また、食品製造等の特定業務への就業制限があるため、該当する企業では注意しましょう。

1-4.四類感染症

E型肝炎、ウエストナイル熱、A型肝炎、エキノコックス症、黄熱(おうねつ)、オウム病、オムスク出血熱、回帰熱、キャサヌル森林病、その他多数が指定されています。

特定職種への就業制限はないものの、ただちに医師による届出が必要です。
医療保険の対象となり、一般の医療機関で治療を受けることになります。

1-5.五類感染症

アメーバ赤痢、E型肝炎及びA型肝炎を除いたウイルス性肝炎、ジアルジア症、クリプトスポリジウム症、破傷風、その他多数が指定されています。

四類感染症と同じく医療保険の対象です。
治療は一般の医療機関で受けることになります。

1-6.新型インフルエンザ等感染症

新型インフルエンザと再興型インフルエンザがあり、特定感染症指定医療機関・第一種感染症指定医療機関・第二種感染症指定医療機関への入院が必要です。

2.感染症の予防

2-1.うがい、手洗いの徹底

感染症対策の基本として感染症の中にはうがいや手洗いで予防できるものがたくさんあります。
正しいうがいと手洗いを実践することは企業において感染症の発生や拡大を抑える大切な方法だと言えるでしょう。

ただ、うがいや手洗いをしっかりしたつもりになっているものの、ウイルスや微生物をうまく落とし切れていない人もいます。
そこで、事業主や衛生管理者は社員に対して正しいうがい・手洗いの方法について指導することが重要です。

社内でのうがいや手洗いは実践しているものの、帰宅後は忘れてしまう人も珍しくありません。
帰宅中に感染症の原因となるウイルスや細菌を吸い込んでしまうこともあるため、帰宅後の手洗いとうがいも徹底指導しましょう。

2-2.マスクの着用

感染症の中には出勤が禁止されていないものもあります。
そういった病気にかかってしまった場合はマスクをしっかり着用してまわりにうつさないように指導することが重要です。

ウイルスは咳やくしゃみによって感染が広がる種類もあるため、マスクを着用するだけでも感染症の予防効果は非常に大きくなります。
中にはマスクから鼻が出ている人もいますが、これでは咳やくしゃみによるウイルスの飛び散りを防ぐことはできても鼻からウイルスが入ってきてしまうので注意が必要です。

2-3.除菌剤の活用

ノロウイルスやロタウイルス、アデノウイルスなどの感染予防に効果的なのが除菌剤の活用です。
除菌剤の活用は感染者が出ていない状態で予防対策の一環として使い始めるのもいいでしょう。

2-4.予防接種の重要性

感染症の中には予防接種することで感染を防げるものが多くあります。
ただ、予防接種の多くは個人の意思を尊重したものになっているため、強制することは難しいですよね。

それでも予防接種による感染症予防効果を正しく伝えることはできるので、企業での感染予防対策として予防接種に関する情報を伝えるのもいいでしょう。

2-5.感染症が企業へ与える影響

感染症対策は企業で働く従業員を守るだけでなく、企業そのもののイメージを守るためにも欠かせないことです。
従業員の中に感染症患者が増えてしまった場合、思うように仕事が進まない状態になってしまうかもしれません。

それだけでなく、あの企業では感染症が流行っているらしいと噂が知れ渡ってしまうと、企業のイメージが悪くなってしまいます。
そういったことを考えると感染症対策をすることは非常に大切だと言えるでしょう。

3.社員が感染症にかかってしまったら

3-1.感染症にかかった社員の出勤停止命令について

感染症を100%予防するのは非常に難しいことなので、社員が感染症にかかってしまった時の対処法についても理解しておきましょう。

気になるのが感染症にかかってしまった社員に対して出勤停止命令を出すことができるのか?ということです。
社員が「それほど症状がひどくないし急いでやらなければならない仕事があるから休みたくない」と考えていたとしても、企業からすれば他の従業員に感染症が移る可能性があり心配になるでしょう。

法律で出勤停止が決められている以外の感染症に対して会社側の判断で出勤停止命令を出すためには、就業規則で「会社側の判断で出勤禁止命令を出すことがある」と定めておかなければなりません。
また、会社側の判断で休ませる場合は平均賃金の6割以上を手当として支給する必要があります。

3-2.出勤停止命令の対象となる感染症

先に紹介した感染症のうち、一類感染症、二類感染症、三類感染症、新型インフルエンザに該当する場合は法律により出勤停止となります。

ここで注意しなければならないのが、インフルエンザが理由で出勤停止となるのは新型インフルエンザと鳥インフルエンザ(H5N1)であるということ。
従来からあるインフルエンザは法による強制的な出勤停止命令の対象とならないため、事業主の判断で出勤停止命令を出す形となります。

インフルエンザであれば新型であっても従来型であっても出勤停止するものだと思っている人は少なくないので、出勤を指示する場合はしっかり説明をしなければなりません。

まとめ

いかがでしたか?

  • 感染症にはどのような種類があるのか?
  • 感染予防対策に関すること
  • 社員が感染症にかかってしまった場合の対応について

以上のことについてご紹介しました。

感染症対策の基本とも言えるのは予防です。
社員に感染症が広まってから対策を取ろうと思っても難しいので感染症対策の中でも予防に力を入れましょう。

被害を最小限に抑えるためには感染症について正しく知り、適切な予防と対策を取ることが大切です。

今回ご紹介した内容を参考にしながら感染症に対する理解を深めてくださいね。