日本における有給休暇の消化率とは? 消化義務や取得を促進する方法

最近「過労死」が増えてきました。外国から見て日本は「働きすぎる」と言われています。
企業や会社に「有給休暇」はありますが、実際使っていないのが現状です。
そこで、日本の有給休暇の消化率や有給休暇の消化義務、有給休暇の取得を促進するための方法について説明します。
従業員が働きやすい環境をつくる衛生管理者はぜひチェックしてください。

  1. 日本の有給休暇の消化率
  2. 有給休暇の消化義務について
  3. 有給休暇の取得を促進するための方法
  4. まとめ

1.日本の有給休暇の消化率

外国と比べて日本は有給休暇をどのくらい使っているのでしょうか。
働きすぎている日本の消化率について説明します。
現状の消化率を一緒に考えていきましょう。

1‐1.日本は有給休暇消化率ワースト2位

Harris interactiveが世界25か国を対象に有給休暇の消化率について調査しました。2014年度における調査結果は、1位ブラジル、2位フランス、3位スペインになったのです。日本はなんとワースト2位でした。
有給消化率ワーストのベスト3は1位が韓国、2位日本、3位マレーシアになったのです。今まで日本はワースト1位を連続でとっていました。
しかし、2014年度でやっと最下位から脱出できたのです。
脱出できたと言ってもワーストベスト3に入っているので変わりません。
消化率は世界で見ても非常に悪いのです。
ワースト2位なので外国から「働きすぎる」と言われても仕方ないでしょう。

1‐2.有給休暇消化率の推移をチェック

2008年~2014年までの日本における有給休暇消化率をチェックしてみましょう。
2008年では有給消化率がおよそ56%でした。
2009年で53%、2010年は56%と3年続けて55%前後を行き来しています。
そして、2011年に45%と一気に下がってしまいました。
2011年から2013年にかけて38%が続きます。38%という数字は非常に低いです。2011年と2012年は消化率も低いですが、有給休暇の支給日数も非常に少ない記録になっています。
初めて最下位から脱出した2014年でも消化率はおよそ50%です。
消化率が高いトップ3の国に比べると半分の数値になっています。
以上のように、日本がいかに消化率が悪いかどうかわかるでしょう。

1‐3.なぜ消化率が低いのか?

なぜ有給休暇の消化率が非常に悪いのでしょうか。
理由は、有給休暇に対する日本人の考え方にあります。
調査において有給休暇に対して罪悪感を抱いてしまう№1に日本人がなりました。
働いている多くの日本人が「有給休暇をとると悪い」と考えてしまっているのです。
調査結果によると4人に1人が罪悪感を抱いていることがわかりました。
2014年ワースト1位になった韓国も罪悪感は日本より抱いていません。
なぜ日本人は罪悪感を持っているのでしょうか。
理由を尋ねてみたところ、「人手が足りないから」という理由がトップでした。
次いで「自営業だから」「お金がないため」となっています。
「会社が忙しいときに自分ばかり良い思いをしてはいけない」「まわりに迷惑がかかってしまう」という気持ちがあるのでしょう。

2.有給休暇の消化義務について

2‐1.有給休暇の消化義務が変わる

有給休暇の消化義務は2016年4月から変わる予定です。
従業員すべてに年5日の有給休暇を取得する義務を追加することになります。
過労死が増え続けていることから労働基準法改正案を提出する方針です。
年5日の有給休暇と同時に年10日以上の年休を与えることになっています。
しかし、消化義務でも従業員がすでに5日以上有休をとっている場合は適用できません。
有給休暇の消化義務と言っても企業側の取り組みがなければ意味がないのです。
ただ、以前よりは有給休暇がとりやすくなるでしょう。
厚生労働省は日本の消化率が悪いことから消化義務を追加しました。
2020年までに有給休暇取得率を70%まで引き上げることを目標にしています。

2‐2.消化義務を守っていない現状

雇用条件に有給休暇○日と記載していても実際は守っていないのが現状です。
義務としても企業によっては社員たちに労働を強要しているところもあります。
業種・企業規模による格差も大きいことがわかっているのです。
たとえば、「卸売業・小売業」「娯楽業」「医療・福祉」「宿泊業」「飲酒業」など休みの日に稼働する業種ほど人手が足りなくなっています。
飲食サービス業などは「ブラック企業」が多いと有名ですよね。
また、最近は少子高齢化の問題から「医療・福祉」関連の人手が不足しています。
そのため、働いている人たちが倍以上の労働をしているのです。
有給休暇の消化義務があっても実際の取得率が問題になっています。

3.有給休暇の取得を促進するための方法

3‐1.企業側の取り組みが最も効果的

有給休暇の消化義務が2016年から変わりますが、大切なのは企業側の取り組みになります。
企業側が現状をきちんと理解していれば従業員たちも有給休暇を気軽に利用できるでしょう。
日本人は長期休暇が少ないと言われています。
そのため、ゴールデンウィークや夏休み、年始年末などの休日を利用して有給休暇の取得促進を図るのです。大型連休が確保しやすくなるでしょう。
有給休暇に罪悪感を抱いている理由にもあったとおり、「人手が足りない」ことが主な原因になっています。
有給休暇を取得しても仕事の量が増えてしまえば意味がありません。
業務の適正配分に注目していかなければならないでしょう。
2016年から導入する新しい消化義務をきっかけに、従業員を交代制にして休みを与えることもできます。
どうすれば職場の全員に有給休暇を与えることができるのか、現状を把握しつつ考えていきましょう。

3‐2.「計画年休」を導入する

従業員が有給休暇を平等に取得できるように企業側の取り組みが大切になります。
そこで、「計画年休」を導入する方法に注目している企業が増えているのです。
従来、有給休暇は従業員ごとの申し出によって取得できます。
しかし、職場の雰囲気や上司の態度によってなかなか伝えにくいケースもあるでしょう。
計画年休はあらかじめ計画的に有給休暇を使う期間を決めておくことです。
計画的に有給休暇を企業側が与えることで取得しづらい職場でも使えます。
けれども、計画年休を活用する場合は「労使協定」が必要になるので注意しなければなりません。
あくまで1つの促進方法だと知っておいてくださいね。

4.まとめ

日本の有給休暇の消費率や有給休暇の消費義務、取得を促進するための方法について説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
有給休暇が取得しやすい職場づくりをしていかなければなりません。
自由に休める雰囲気をつくることが第1歩になるでしょう。
働きすぎている日本だからこそ、企業側が積極的に改善する必要があります。

  • 日本は有給休暇消費率ワースト2位
  • 非常に消化率が悪い推移
  • 日本人は有給休暇に対して罪悪感を持っている
  • 有給休暇の消化義務が2016年から変わる
  • 消化義務を守っていない企業
  • 企業側の取り組みが最も効果的
  • 「計画年休」を導入する

以上のポイントはぜひ押さえておいてください。
有給休暇の消化率を上げるためには企業の取り組みが大切になります。
職場を改善するためには現状を知ることが1番です。
現状を把握してから有給休暇の消化率を上げていきましょう。