欠勤が多い社員を解雇してもいいの?衛生管理者が知っておくべき対策と注意点

衛生管理者は、社員の心と体の健康状態を管理することも大切な仕事です。
しかし、職場におけるストレスが原因で体調を崩し、欠勤を繰り返す社員が多いのが現状。
衛生管理者として、欠勤の多い社員にどう対処すればよいのでしょうか。

そんな人たちのために、勤怠不良を放置してはいけない理由や欠勤が多い社員への指導方法をまとめてみたいと思います。

目次

  1. 勤怠不良を放置してはいけない理由
  2. 欠勤が多い社員への指導方法
  3. 欠勤が多いことを理由に解雇できるのか
  4. まとめ

1.勤怠不良を放置してはいけない理由

明らかな勤怠不良で遅刻や欠勤を繰り返す社員を放置しておくわけにはいきません。
なぜ放置してはいけないのか、その理由をまとめてみましょう。

1-1.ほかの社員への悪影響

会社にとって問題となる社員にはいくつかのパターンがあります。
他人とのコミュニケーションを阻害する、他人との衝突を繰り返すなど「周囲に悪影響を与える」社員もいるでしょう。
業務でのミスや取引先とのトラブルが多い「力量不足を解消する努力をしない」社員もいます。
そして、今回取り上げるのが、無断欠勤や遅刻などの勤怠不良を起こす「勤務態度に問題のある」社員です。
社員の勤怠不良を放置することは、会社にとってさまざまな悪影響につながります。
まず、ほかの社員たちはどう思うでしょうか。
「自分は規則どおり真面目に働いているのに、なぜあの社員だけ勤怠不良が許されるのか」という気持ちになることは間違いありません。
また、その社員がするはずだった仕事をカバーするために、ほかの社員にしわ寄せがくることになるでしょう。
社員の士気が減少することになります。

1-2.会社の社会的評価に影響する

問題社員の行動は、最悪の場合、会社の社会的評価にまで影響をおよぼす可能性があるでしょう。
勤怠不良を繰り返す社員は、会社と締結する労働契約の契約不履行に値します。
会社に対する悪い噂(うわさ)が広まる可能性もあるでしょう。
1人の社員が原因で会社全体の評価が落ちるのは、あってはならないことなのです。

1-3.解雇しなければならない状況になる恐れも

衛生管理者は、最終的に会社を守る必要があります。
最後の手段として、その社員を解雇するという判断を下すことにもなるでしょう。
その際は、就業規則に沿って慎重に行わなければなりません。
トラブルを避けるためにも、解雇社員を出さないように、教育や指導をする必要があるでしょう。

2.欠勤が多い社員への指導方法

衛生管理者は、欠勤が多い社員に対してどのような指導を行う必要があるのでしょうか。
具体的な方法をいくつかご紹介します。

2-1.口頭注意と文書による注意

欠勤が多い社員を指導する際には、順番があります。
いきなり重い処分を与えるとトラブルが発生する可能性もあるため、十分気をつけなければならないでしょう。
まずは、口頭注意をし、改善しない場合は数回にわたり書面による注意を行います。
ここで、書面による記録を残しておくことが大切。
裁判や労働審判などの争いになったとき、口頭注意だけでは証拠が残らないため不利になってしまいます。
「日常的にその行為を黙認していた」とみなされないためにも、書面での通知は絶対に必要なのです。

2-2.懲戒処分

再三にわたり文書で注意をしたにもかかわらず欠勤を繰り返すようであれば、会社として懲戒処分を下す必要があります。
その際は、いきなり重い処分を下さないこと。
減給などの軽い処分からはじめ、出勤停止や降格など、次第に重い処分にしていきましょう。
懲戒処分を行わずに解雇しようとする会社経営者もいます。
しかし、この方法は社員にとって不意打ちであり、トラブルが発生する可能性が高くなるでしょう。
必要な懲戒処分を行うことは、職場の秩序を維持する上でも大切なことなのです。

2-3.ポイントは「素早い対応」

欠勤の多い社員に対しては、会社として素早く毅然(きぜん)な対応をとることが大切です。
特に、新入社員が無断欠勤を繰り返す場合は、最初が肝心でしょう。
「職場の雰囲気が悪くなるから」と言って甘い対応をすると社員は事態を軽く考えてしまいます。

3.欠勤が多いことを理由に解雇できるのか

最後に「欠勤が多いことを理由に解雇できるのか」という問題についてです。
職場の衛生管理者として、解雇の条件を知っておきましょう。

3-1.「欠勤日数の程度」と「欠勤した理由」がポイント

会社と社員は契約で結ばれています。
社員は契約どおりに働く義務を負っているのです。
大きな理由もなく社員が欠勤を繰り返した場合、会社としては当然「辞めてもらいたい」と考えるでしょう。
このとき注意してもらいたいのが「欠勤日数の程度」と「欠勤した理由」です。
欠勤日数だけを解雇理由にする場合、過去1年間の出勤率が8割以上であるか確認する必要があります。
この数字を下回る数字でなければ、解雇の正当性が認められる可能性は低いでしょう。
ただし、出勤率が8割以上の社員でも、正当な解雇の理由になる場合はあります。
欠勤した理由に虚偽の報告があったときや、常識的には考えにくい理由であったときは、解雇が認められることになるでしょう。
「普段から欠勤が多い」「虚偽報告の疑いがある」という場合は、その理由を証明する書類を提出してもらってください。
病気が理由の欠勤であれば、病院の領収書や診断書の提出を求めましょう。

3-2.円満に解雇するための条件

トラブルもなく社員を円満に解雇するためには、いくつか条件があります。

  • 法律の解雇禁止事項に該当しないこと
  • 法律に則(のっと)って解雇予告を行うこと
  • 就業規則の解雇事由に該当していること
  • 解雇に正当な理由があること
  • 解雇の手順を守ること

以上のすべてを満たしていなければならないのです。

4.まとめ

欠勤が多い社員への対策についてご紹介しました。

  • 勤怠不良を放置してはいけない理由
  • 欠勤が多い社員への指導方法
  • 欠勤が多いことを理由に解雇できるのか

「欠勤の多い社員がいて困っている」「社員への指導方法や解雇について知りたい」という衛生管理者の方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。