【要チェック】衛生管理者と社労士の共通項と違いを解説! 試験の難易度や受験資格は?

衛生管理者の資格を取得したら、次は社会保険労務士(以下、社労士)の資格にチャレンジしたいと思っている人はいませんか? また、社労士の資格を取得したので、試験合格のために身につけた知識を利用して衛生管理者の資格を取得したいと考えている人もいると思います。

そこで今回は、衛生管理者と社労士の試験に共通する項目や、2つの資格を取得するメリットなどを紹介しましょう。

  1. 衛生管理者と社労士の共通点と違い
  2. 社労士と衛生管理者の資格試験の共通点と違い
  3. 衛生管理者の試験と勉強のコツ
  4. 衛生管理者と社労士に関するよくある質問

この記事を読めば、衛生管理者と社労士の難易度の違いや、受験資格なども分かります。衛生管理者と社労士、2つの資格取得を目指している人は、ぜひ読んでみてくださいね。

1.衛生管理者と社労士の共通点と違い

はじめに、衛生管理者と社労士の職務のうち共通する点や相違点を紹介します。

1-1.衛生管理者の資格概要と職務

衛生管理者は、労働者が安全かつ健康的に仕事が行えるように職場環境を整える職務を行う国家資格です。資格区分は第一種と第二種があります。第一種は、すべての職場で衛生管理を行え、第二種は、小売業など労働災害が起こりにくい職種で衛生管理をすることが可能です。

職種に関わりなく、50名以上の従業員が所属している職場には選任が義務づけられています。衛生管理者の職務は、週に1度以上の職場巡視や健康診断実施の計画、結果の管理などです。また、平成28年度より実施されていすストレスチェックの実施補佐を行うのも職務の1つとなっています。

1-2.社労士の資格概要と職務

社労士は、労働や年金に関する相談を企業と従業員から受け、トラブルの解決を代行できる国家資格です。社労士は労働や年金に関する法律のエキスパートであり、法律に沿って事業の健全な発達と労働者等の福祉を向上させることが仕事になります。

たとえば、労働災害に関して職場とトラブルになった場合、社労士が間に入ることで円満に解決することが可能です。また、労働社会保険の諸手続業務を代行、職場に合わせた働き方の相談を受けることも業務になります。

1-3.共通する知識は労働安全衛生法

衛生管理者は、労働安全衛生法(一部、労働基準法)に沿って職務を行います。そのため、資格を取得するには労働安全衛生法を詳しく知り、理解することが必要です。一方、社労士は労働や年金に関するすべての法律を知り、理解しておかなければ務まりません。その中には、労働安全性衛生法も含まれます。そのため、労働安全衛生法の知識があれば、資格試験に合格する可能性も高まるでしょう。

1-4.社労士のほうが業務は多岐にわたる

衛生管理者が職場の衛生管理に特化した職務を行うのに対し、社労士は労働全般と年金に関する相談を受け、問題解決を図ります。社労士の業務は衛生管理者に比べて多岐にわたり、仕事に必要な知識も膨大です。そのため、社労士として企業に雇用された場合、選任業務となります。また、独立も可能です。

一方、衛生管理者の職務はほかの業務と兼任することが多く、独立して仕事を行うことはできません。給与も社労士のほうが高額で、転職や就職にも役立ちます。

2.社労士と衛生管理者の資格試験の共通点と違い

この項では、社労士と衛生管理者の資格試験について解説します。

2-1.どちらの試験も受験資格が必要

衛生管理者の試験は、第一種・第二種とも一定の実務経験が必要です。一方、社労士は大学・短大・高専を卒業するか、一定の単位を取得した人、労働社会保険諸法令に関する業務の経験が一定期間あることが受験資格になります。

衛生管理者の受験資格について詳しいことは、安全衛生技術試験協会のサイトを確認しましょう。社労士に関しては社会保険労務試験オフィシャルサイトを確認してください。

2-2.試験に占める労働安全衛生法の割合

衛生管理者の試験は、労働安全衛生法や労働基準法に関する問題が、第二種は10問、第一種は17問出題されます。第一種の場合、44問中の17問なので、法令に関する問題が解けるかどうかで合格が決まるでしょう。

一方、社労士の試験は択一式(70問)と選択式(50問)があります。択一式は、労働安全衛生法が3問、労働基準法が7問です。1問1点なので、全問正解すれば10点となります。選択式の試験では2つの法律から1問出題され、配点は5点です。

2-3.合格基準の違い

衛生管理者の試験は、各科目ごと40%以上の得点があり、全科目で60%以上の得点が取れれば合格です。ただし、1科目でも40%を下回ると不合格になります。

一方、社労士の試験は相対評価の試験なので、明確な合格点が存在しません。総合得点の高い順から合格となり、定員に達したら残りはすべて不合格です。ですから、毎年平均して7割以上の得点が取れれば合格と考えられています。

2-4.試験範囲の違い

衛生管理者の試験は、労働衛生・労働整理・関係法令(労働安全衛生法や労働基準法)から出題され、この範囲を勉強すれば合格に必要な知識が身につきます。

一方、社労士は、労働安全衛生法や労働基準法だけでなく、労働者災害補償保険法・健康保険法といった法律や労務管理その他の労働に関する一般常識なども試験範囲です。衛生管理者の試験が3科目なのに対し、社労士の試験は9科目となります。

2-5.合格率や試験回数の違い

衛生管理者の試験は、全国各地の安全衛生技術センターでほぼ毎月1度~3度行われます。全国どのセンターで受験しても、何度受験してもかまいません。

一方、社労士の試験は年に1度、8月の下旬に全国で実施されるだけです。衛生管理者の合格率が45%前後なのに対し、社労士の合格率は8~9%となり、社労士の方がはるかに難易度が高くなっています。

2-6.衛生管理者が社労士の資格を取得するメリット

衛生管理者が社労士の資格を取得すると、労働安全衛生法や労働基準法に詳しい社労士となれます。また、衛生管理者として働いた経験が、労働者や企業との相談するときや、紛争解決に役立つでしょう。

また、労働安全衛生法や労働基準法に関する知識があれば、社労士の試験勉強も少しは楽になります。衛生管理者の資格を取得して、勉強と仕事の両立ができるようになり、社労士の受験資格があるならば挑戦してみる価値はあるでしょう。

2-7.社労士が衛生管理者を取得するメリット

衛生管理者の資格と社労士の資格、両方を取得していれば仕事の幅が広がります。また、衛生管理者の職務と社労士の職務は共通することもあるので、職場によっては社労士が衛生管理者の仕事もしているところもあるでしょう。転職の際には武器にもなります。社労士の試験に合格する力があれば、衛生管理者の試験はそれほど難しくありません。試験回数も多く挑戦しやすいので、ぜひ挑戦してみましょう。

3.衛生管理者の試験と勉強のコツ

この項では、衛生管理者の資格取得方法と勉強のコツを紹介します。

3-1.特定の資格があれば無試験で取得できる

衛生管理者の資格は、安全衛生技術試験協会が主催する試験を受けて取得することが基本です。ただし、薬剤師・保健師・医師などの資格を持っている人は、各自治体の労働基準監督署に申請を行うことで、第一種衛生管理者の資格が無試験で取得できます。

3-2.試験の申し込みは郵送で行う

前述したように、衛生管理者の試験は、全国各地の安全衛生技術センターで毎月行われます。平日にも試験が行われるため、試験日の確認を忘れずに安全衛生技術試験協会のサイトで行ってください。

なお、土日の試験日は人気があり、会場が早々にいっぱいになってしまうことがあります。その場合、試験の募集が早めに締めきられるので、土日に受けたい人は早めに申し込んでください。

年に1度、センターから遠いところに住んでいる人向けに地方試験も実施されます。試験の申し込みは、安全衛生技術試験協会のサイトから願書を入手し、必要事項を記入して試験を受けたいセンターあてに郵送しましょう。受験料は6,800円です。電子申請は行っていません。

4.衛生管理者と社労士に関するよくある質問

この項では、衛生管理者と社労士に関する質問を紹介します。

Q.社労士の受験資格である大卒や短大卒ですが、学部は関係ありませんか?
A.はい。学部は問われません。

Q.衛生管理者の資格と社労士の資格は同時に取得することは可能ですか?
A.可能ですが、2つの試験勉強を同時進行させていくのは大変ですので無理をしてはいけません。

Q.高卒ですが社労士の資格を取得したい場合はどうしたらいいですか?
A.社会保険労務試験オフィシャルサイトに記載されている実務経験を参考に、実務経験が積める職場に就職したりしましょう。

Q.社労士の資格だけでは衛生管理者の職務は行えませんか?
A.はい。行えません。

Q.衛生管理者の資格だけでは就職や転職の武器にはならないのでしょうか?
A.そんなことはありませんが、資格を取得しているだけで無条件に優遇されることはありません。

まとめ

今回は衛生管理者と社労士の共通項目や試験の難易度の違いなどを紹介しました。衛生管理者の試験に合格できたということは、法律の知識や勉強の習慣が身についているはずです。もっと上位の資格を目指したい場合は、社労士に挑戦してみましょう。