一次救命処置の目的や内容・手順について知ろう!緊急時の基礎知識

事故やトラブルで人の命が危険になったとき、“一次救命処置”が大切になります。
一次救命処置をするかしないかで、命の危険度が大きく変わるのです。
そこで、一次救命処置の目的や内容・手順、処置をする際の注意点について詳しく説明します。
一次救命処置について知りたい人や衛生管理者資格取得のために勉強している人は、ぜひ参考にしてください。

  1. 一次救命処置の目的
  2. 一次救命処置の内容や手順
  3. 一次救命処置の注意点
  4. まとめ

1.一次救命処置の目的

省略してBLS(Basic Life Support)と呼ばれている一次救命処置は、とても重要な役割を持っています。
スムーズに処置するには、一次救命処置の「目的」を理解しておかなければなりません。
そこで、目的について詳しく説明していきます。

1‐1.心肺停止になっている人への対処法

一次救命処置の目的は「心肺停止状態になっている人への対処法」です。
現場で急に人が倒れたら、まずは呼吸しているかどうか確認しなければなりません。
なぜなら、呼吸していないと脳に酸素が行き渡らなくなるからです。
そもそも、脳自体には酸素を吸収する力がありません。脳への酸素の供給が遅れるほど障害が残る可能性が高くなります。
よって、呼吸の有無を確認し呼吸していない場合は“一次救命処置”をしなければなりません。
一次救命処置の目的は心肺停止状態の対処法、脳への酸素供給です。
つまり、人の命を救う大切な行為だと言えます。

1‐2.酸素供給は時間との勝負

一般的に、救急車がくるまでの時間はおよそ7分42秒と言われています。
道が混雑していれば、もっと時間がかかるでしょう。
救急車がやってくる前にできることは自分たちでしておかなければなりません。
何もしないよりかは、一次救命処置をしたほうが助かる確率が高くなるのです。
実は、酸素が必要な脳は3分の心肺停止で死に始めると言われています。
救急車到着まで7分なら確実に脳が死ぬでしょう。
しかし、一次救命処置のやり方を事前に把握しておけば、一刻も早い救命処置で脳の死を防ぐことができます。
なんと、同じ時間経過でも救命処置をした場合は助かる確率が2倍も高まるのです。
一次救命処置は脳への酸素を送るほかに、人の命を助ける大きな効果を持っています。

1‐3.一次救命処置は立派な心肺蘇生(そせい)法

日本救急医学会によると、一次救命処置は心肺蘇生(そせい)法の1つで血液の流れを自発的にうながすための試みだと認識しています。
つまり、医療従事者に限らず誰もができる心肺蘇生(そせい)法です。
人が倒れた場合、多くの人が最初に救急車を呼ぶでしょう。
救急車の到着を待っている間は、自分たちで気道確保・人工呼吸・心臓マッサージをしなければなりません。1秒が大切になる緊迫状態なのです。
アメリカ心臓病協会によると、心肺蘇生(そせい)を成功するには「4つの手順」が大切だと公表しています。
後ほど、詳しく説明するのでぜひチェックしてください。
特に、現場で働いている従業員の健康管理をする“衛生管理者”は、いざというときのために一次救命処置をマスターしておかなければなりません。

2.一次救命処置の内容や手順

2‐1.一般的な一次救命処置は「abcd」

学生のころ、心臓マッサージや気道確保・人工呼吸などやり方を教えてもらったことがあるでしょう。
医療に詳しくない一般市民でもやり方さえ知っておけば一次救命処置ができます。
基本的な内容として「abcd」を覚えておきましょう。
abcdとは、Airway(気道確保)・Breathing(人工呼吸)・Ciculation(心臓マッサージ)・Degiblillation(除細動)の4つです。
最初に、頭部後屈・顎先挙上によって気道確保をしなければなりません。気道確保ができたら人工呼吸→心臓マッサージに移ります。
人工呼吸は酸素を送りこむために必要な行為ですが、次にする胸骨圧迫・心臓マッサージのほうが大切です。
心臓マッサージによって血液循環をうながします。
そして、最後の除細動は主にaed( 電気ショック)を利用することになるでしょう。
なかなか血液を送り出すことができない心臓に電気ショックで刺激を与えます。

2‐2.一次救命処置の大切な4つの手順

一次救命処置の手順はとても大切です。
手順を間違ってしまえば、逆効果になりかねません。
手順をしっかり確認したうえで一次救命処置をしてください。手順は大まかに4つわかれています。
まず1つ目は「迅速な通報」です。
人が倒れて心肺停止になった場合、すぐ119番通報をしてください。
そして、気道確保・人工呼吸・心臓マッサージなど2つ目の「迅速な救命処置」に入ります。
救命処置をした後は3つ目の「迅速な電気的除細動」です。
aedのような電気ショックを使って心臓に刺激を与えましょう。
最後の4つ目は「迅速な二次救命処置」です。基本的な一次救命処置は、電気的除細動までの行為を示しています。

3.一次救命処置の注意点

3‐1.出血が起きた場合は「止血」を

一次救命処置には「止血」も入っています。
人が倒れたとき、場合によっては体に傷がつく、頭を強く打つこともあるでしょう。
呼吸していないときは1番に気道を確保しなければなりませんが、止まらない出血を止めることも大切です。大量出血によって亡くなる人もいます。
血は体の臓器に大切なものなので、出血を必ず止めてください。
止血のやり方は、ガーゼや清潔なタオルなどで傷口を軽く押さえましょう。できるだけ血が出ないように押さえることが大切です。
また、骨折の場合は三角巾や細長いタオルを利用して固定してください。
ヤケドの場合も状態を見ながら冷やしていきましょう。
以上の注意点をふまえ、人の状態に合わせて処置していかなければなりません。

3‐2.「安全」を1番に考えた体位管理

一次救命処置をする際、おこなう「場所」が大切です。
まわりに危ないものがあれば、安心して一次救命処置ができません。
まわりの安全を必ず確保してから処置を始めてください。
しかし、状態によってはむやみに動かすと事態が悪化します。
特に、頭を強く打った、肋骨(ろっこつ)が折れている場合は動かしてはいけません。
呼吸をしていないと気道確保や人工呼吸など一次救命処置で頭がいっぱいになります。けれども、現場をふまえたうえで倒れた人の症状をきちんと把握することが大切です。
全体的な様子を見極めて一次救命処置をするための体位を確保していきましょう。
以上のように注意すべきことはたくさんあります。
一次救命処置だけでなく、緊急時の基礎知識を幅広く身につけてください。

4.まとめ

一次救命処置の目的や内容・手順、注意点について説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
一次救命処置は迅速な119番通報から始まります。
通報後は気道確保や人工呼吸、心臓マッサージなどの処置です。
そして、aedといった電気的除細動をすることになります。
以上のような行為は、すべて時間との勝負になるでしょう。
脳へ酸素を供給する、血液の流れをうながすことが一次救命処置の目的です。目的を果たすためにはできるだけ早めに処置をしなければなりません。
酸素の供給が遅くなればなるほど死亡の確率が高くなります。
人命を助けるためにも一次救命処置に関係する知識を幅広く身につけてくださいね。しっかり知識を持っておけば、スムーズに緊急処置ができますよ。