一酸化炭素中毒の安全対策に必要な知識~対策の仕方や発生要因~
ニュースでも名前があがる「一酸化炭素中毒」はとても危険です。
また、よく起こる中毒でもあります。一酸化炭素中毒を防ぐには一酸化炭素中毒の特徴や対策を知らなければなりません。
そこで、一酸化炭素中毒の特徴や症状、発生要因や安全対策について説明します。
正しい対策をするためにも、一酸化炭素中毒について知りましょう。
危険物を取り扱う衛生管理者にとっては、必要不可欠な知識になります。
1.一酸化炭素中毒の特徴や症状
冬になると一酸化炭素中毒が急激に増えます。
一酸化炭素中毒は思ってもいないときに発生する、とても怖いものです。
未然に防ぐためにも、一酸化炭素中毒の特徴や症状をしっかり把握しておきましょう。これから、詳しく説明していきます。
1-1.一酸化炭素とは
一酸化炭素中毒は、一酸化炭素の発生によって起こる中毒です。
一酸化炭素を大量に吸いこむことで中毒症状を起こしてしまいます。
中毒のもとになる“一酸化炭素”は、無臭・無色・無味の気体です。
また、感知しにくい特徴をもっています。そして、非常に強い毒性のある気体です。強い毒性をもっているため、一酸化炭素の取り扱いには十分に注意しなければなりません。
さらに、一酸化炭素の特徴はほかにもたくさんあります。
一酸化炭素中毒が発生しやすいのは強い毒性をもっているからでもあるでしょう。
けれども、“充満しやすい”特徴も原因の1つなのです。いつの間にか一酸化炭素が部屋の中に充満してしまいます。
血液の中に入っているヘモグロビンとの結合力が強いため、吸いこむとすぐに体の中をめぐるでしょう。
1-2.一酸化炭素中毒の症状
一酸化炭素中毒になると起こる症状は何なのでしょうか。
主に症状としてはめまい、吐き気、眠気、頭痛、錯乱などがあがっています。意識はあるものの、体が自由に動かなくなるでしょう。
そして、耳なり、めまいがひどくなります。
立ちあがることができないほどだるくなるのです。
軽度の一酸化炭素中毒は風邪の症状に似ています。
しかし、気をつけなければならないのが重度のケースです。
一酸化炭素中毒の重度になると、意識が混乱します。自覚症状がないままこん睡状態におちいるでしょう。
そして、呼吸器系の活動が停止、心臓も止まって死にいたります。
一酸化炭素中毒の重度になる前に対処しなければなりません。
また、後遺症が出やすいので要注意です。後遺症としては、知能の低下や感覚・行動異常が起きます。
1-3.一酸化炭素中毒の死亡率はおよそ30%
ニュースでもよく取りあげている“一酸化炭素中毒”は、死亡率がおよそ30%と言われています。決して高いとはいえませんが、低くもありません。
空気中における一酸化炭素の量が多くなればなるほど、症状が悪く、死亡率が高くなるでしょう。
一酸化炭素中毒の濃度が空気中に0.02%含んでいるときから一酸化炭素中毒の症状が起こります。
0.02%の場合は2~3時間で頭痛が起き、0.04~0.08%で吐き気・めまいが出てくるでしょう。
そして、0.32%になると、5~10分間でめまいや頭痛が起き、30分間で死にいたります。
濃度が高くなるほど症状が起きるまでの時間が短くなるのです。すぐ命にかかわるので、注意しなければなりません。
2.一酸化炭素中毒の発生要因
2-1.閉鎖空間の中で暖房器具を使うとき
一酸化炭素が発生する状況は、私たちの身近なところにあります。
なぜ、一酸化炭素中毒によるニュースは冬に多いのでしょうか?
冬に使う“暖房器具”が大きなポイントになります。
ストーブなどの暖房器具は一酸化炭素を生み出しているものです。暖房器具を長時間使用すると、部屋の中に一酸化炭素がたまります。
そして、私たちの体に異常が起こるのです。
さらに、最近の一軒家やマンション・アパートは非常に気密性が高くなっています。
昔の家は現代ほど優れていません。窓やドアに隙間がありました。
気密性に優れているからこそ、一酸化炭素の逃げ道がなくなります。
よって、閉鎖空間の中で暖房器具を使う際は“こまめな換気”が大切になるでしょう。
適度に換気を心がけてください。
2-2.お風呂の追いだき機能や車の排気ガス
車の排気ガスは一酸化炭素中毒の原因です。よく自殺で使うケースになるでしょう。
車の排気ガスは基本そとに出すものですが、いつの間にか車内に充満してしまう危険性があります。
たとえば、マフラーが雪にうもれる場面です。
雪がふる豪雪地域では特に気をつけなければなりません。雪で排気ガスを排出するマフラーがうもれてしまい、車内へと逆流する事件が起きています。
マフラーに雪がついていないかどうか確認しなければわかりません。
よって、気づかないうちに一酸化炭素中毒になるケースが多いのです。
また、お風呂についている追いだき機能にも注意しなければなりません。
ボイラーが横についている古いタイプは、一酸化炭素が発生しやすくなっています。ガスの燃焼状態によって浴室に充満するのです。
以上のように、私たちが当たり前に使っているものに発生要因がひそんでいます。
日ごろからしっかり安全を確認しておいたほうが良いでしょう。
3.一酸化炭素中毒の安全対策
3-1.「換気」が十分にできる場所かどうか確認する
一酸化炭素中毒の危険は身近なところにあるものです。
“気づかないうちに”“いつの間にか”充満するケースが多いので注意しなければなりません。
一酸化炭素中毒の安全対策として最も大切なのが“換気”です。
一酸化炭素が発生しやすい場所では換気できるかどうかが大切なポイントになります。換気が十分にできなければ中毒になりやすいので注意が必要です。
十分な換気ができない場所では一酸化炭素が発生するものを使用してはいけません。
さらに、安全を高めるため“一酸化炭素検知器”を取りつけてください。
危険な量を測定したとたん、警報がなります。いち早く一酸化炭素中毒を防げるでしょう。一酸化炭素を取り扱う場所では必要不可欠な機器です。
3-2.古い年式の石油・ガス燃焼機器は使わない
古い年式の石油・ガス燃焼機器を使っている家庭や仕事場はあるでしょう。
けれども、古い年式はエネルギー消費量が大きく、一酸化炭素を多く排出します。
さらに、危険度が高まってしまうのでできるだけ使わないようにしてください。
古い年式の燃焼機器を使用しているのなら、新しく買い替えることをおすすめします。そして、こまめに点検・確認をしたほうが安全です。
燃焼機器を使用するだけでなく、メンテナンスも一酸化炭素中毒の安全対策になります。新しい機器に買い替えからと安心してはいけません。
特に、密封空間で動かす場合は気をつけてくださいね。
4.まとめ
一酸化炭素中毒の特徴や症状、発生要因、安全対策について説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
一酸化炭素中毒を効率的に防ぐためには、一酸化炭素中毒について正しい知識を身につけなければなりません。
何よりも「知識」が大きな武器になります。
また、安全を確保するには“換気”が大きなポイントです。一酸化炭素を排出する機器を使用する際は、換気できる場所を選びましょう。
充満するスピードが速い気体なのでこまめな換気が大切になります。
きちんと正しい知識を身につけて安全対策をしてくださいね。