事務所衛生基準規則とは?定義・内容・罰則を詳しく解説!

事務所衛生基準規則について、詳しく説明できる人は少ないことでしょう。でも、私たちが安心して仕事をするためにも、事務所衛生基準規則について定義や内容・罰則などを学ぶことは大切です。今回は、事務所衛生基準規則に関してわかりやすく説明していますのでご覧ください。

  1. 事務所衛生基準規則とは
  2. 事務所衛生基準規則について詳しく学ぼう
  3. 衛生管理者について学ぼう
  4. 事務所衛生基準規則のチェックリストを確認しよう
  5. 事務所衛生基準規則に関するよくある質問

記事を読んだ後は、今まで事務所衛生基準規則に関して、不明に感じたり疑問に思っていたりしたことが明らかになるでしょう。事務所衛生基準規則について興味のある人や内容を深く知りたい人は、ぜひ読んでくださいね。

1.事務所衛生基準規則とは

まずは、事務所衛生基準規則の定義などについて学びましょう。事務所衛生基準規則の目的や必要性、さらには、労働安全衛生法についても理解してください。

1-1.事務所衛生基準規則の定義

事務所衛生基準規則は、オフィスビルなどの事務所で働く人の労働環境を適正に保つために制定しています。事務所で働くときにも、空調などの条件を適正に保つことは安心して労働をするために必要なことと言えるでしょう。事務所衛生基準規則は、事務所で働く人の労働環境を守るためにも必要な規則なのです。

1-2.労働安全衛生法について

事務所衛生基準規則は、労働安全衛生法によって制定しています。労働安全衛生法とは、労働災害の防止と労働環境の保全のために昭和47年にできた法律。労働安全衛生法があることで、事業所は労働者が安全・適正な環境で労働をすることを守ることが義務となっているのです。労働安全衛生法は、働く人すべての労働環境を適正に保つための法律と考えましょう。

1-3.事務所衛生基準規則の目的や必要性を確認しよう

事務所衛生基準規則の目的や必要性について、確認しましょう。事務所衛生基準規則は、労働者の労働環境を適切に保ったり労働者の健康管理を行ったりすることが主な目的となります。たとえば、工場勤務など危険作業が無い職場でも、労働者として安全な環境で働き続けるためにも事務所衛生基準規則の必要性は高いと言えるでしょう。

2.事務所衛生基準規則について詳しく学ぼう

それでは、事務所衛生基準規則について具体的に学ぶことにしましょう。事務所衛生基準規則に関する違反や罰則についても、解説していきます。

2-1.事務所衛生基準規則の各章の主な内容を解説

事務所衛生基準規則は、第一章から第五章と附則(ふそく)の構成となっています。第一章は規則の総則、第二章は事務所の環境管理に関する内容。第三章は事務所の清潔管理に関する内容と覚えておきましょう。また、第四章は労働者の休養に関する内容で、第五章は救急用具に関する内容となります。たとえば、事務所内で事務を行うときの室温や照度に関する取り決めは第二章を参考にすることになるでしょう。ちなみに、事務所内の室温は、第二章において17度以上28度以下を保つように努力する義務があります。

2-2.事務所衛生基準規則の違反や罰則について

事務所衛生基準規則に違反した場合や、罰則についても学びましょう。事務所衛生基準規則に違反した場合は、6か月以下の懲役か、50万円以下の罰金となる可能性があります。確かに、事務所衛生基準規則自体には、罰則は記してありません。しかし、事務所衛生基準規則は労働安全衛生法によって規定しているため、労働安全衛生法に違反したときの罰則に従うと考えて良いでしょう。事務所衛生基準規則については、きちんと守ることが大切です。

2-3.事務所衛生基準規則と衛生管理者の関係を理解しよう

事業所において事務所衛生基準規則で指定している内容を守っているかどうかは、定期的にチェックをすることが必要となります。また、チェックした結果を元に、適切な労働環境に改善することも職務となるでしょう。定期的にチェックしたり管理したり、場合によっては改善や指導を行うためにあるのが、衛生管理者なのです。衛生管理者は、事務所衛生基準規則をきちんと理解し、労働者が適切な環境で安心して労働できるように職務に当たる義務があることを認識してください。

3.事務所衛生基準規則のチェックリストを確認しよう

ここでは、事務所衛生基準規則のチェックリストを確認しましょう。皆さんの事務所で、基準をクリアしているか確認してくださいね。

3-1.事務所衛生基準規則のチェックリストについて

事務所衛生基準規則に対して、事業所が内容を守っているかどうか簡単にチェックするためには、わかりやすいチェックリストを作成することが大切です。また、チェックリストの内容は労働者全員が知っておくことが望ましいと言えるでしょう。理由は、事務所衛生基準規則はあくまでも労働者主体で進めていくべきものだからです。労働者全員が労働環境の改善や適切な状態の維持に関心を持つことが、理想と言えるでしょう。

3-2.事務所衛生基準規則のチェックリストを確認しよう

それでは、職場環境が事務所衛生基準規則に対して適切かどうかのチェックリストの例をご覧ください。まずは、皆さんの職場が適切な労働環境であるかを確認しましょう。

  1. 事務所の室温を17度以上28度以下に保っているか
  2. 事務所の湿度を40%以上70%以下に保っているか
  3. 事務所の照度が通常150ルクス以上・精密作業時には300ルクス以上になっているか
  4. 換気を適切に行っていて一酸化炭素50ppm以下・炭酸ガス0.5%以下となっているか
  5. 労働者に対する飲用水の供給やトイレ設備の維持・管理は適切か
  6. 休養室もしくは休養所を設置しているか
  7. 必要な救護用具は揃(そろ)っているか
  8. 労働者の健康チェックを定期的に行っているか

事務所衛生基準規則に従った労働環境であることは、生産性を向上します。労働者の環境が適切であるかチェックをすることは、事業所の利益アップにもつながると考えてください。チェックを行った後、労働環境において不適切な部分が判明した場合は、早急に改善しましょう。

4.衛生管理者について学ぼう

さて、衛生管理者とは何かについても学ぶことにしましょう。衛生管理者の職務や資格について詳しく知ることにも意味がありますよ。

4-1.衛生管理者の職務とは

衛生管理者の職務とは、労働者の安全衛生を管理することです。衛生管理者の主な職務については、下記を参考にしてください。

  • 労働者の危険または健康障害を防止すること
  • 労働者の安全衛生のための教育を行うこと
  • 労働者の健康診断の実施や健康の増進のための活動をすること
  • 労働災害の原因を調査したり再発防止に努めたりすること
  • 労働者の救護活動に必要な対策や準備をすること
  • 労働者の負傷や病気、死亡・欠勤・異動に関する統計資料の作成をすること

衛生管理者は、週に1回以上職場を巡回して問題が無いかチェックしたり改善をしたりする職務があります。なお、衛生管理者は、常時50人以上が働く職場では選任が義務となっていることも知っておきましょう。

4-2.衛生管理者の資格について

衛生管理者の資格には、第一種と第二種があります。第一種は第二種より広い範囲の職場適用となるため、第一種衛生管理者を取得した方がおすすめと言えるでしょう。第二種は薬品の取り扱いなどの「有害業務にかかわる」分野を除外としているため、試験の難易度が落ちます。最初に第二種を受験した後に、第一種を取得しても良いでしょう。なお、衛生管理者になるためには、公益財団法人である安全衛生試験協会が実施する資格試験に合格する必要があります。

4-3.衛生管理者の試験について

衛生管理者の資格試験は、全国7カ所の試験会場にて毎月1回以上実施しているため、受験の機会は多いと言えるでしょう。第一種衛生管理者の試験科目は、労働衛生・関係法令・労働生理の3科目。第二種の場合は、労働生理の科目受験がありません。また、衛生管理者試験の受験料は、1回6,800円です。気になる合格率は、おおよそ6割から7割と考えてください。合格率が6割から7割であることは、資格試験の中では比較的高い数字と言えるでしょう。しかし、反対に考えると10人の受験者のうち3人か4人は落ちてしまうのです。衛生管理者試験に確実に合格するためには、普段からしっかりと学習を行うことや効率の良い試験対策をすることが大切でしょう。

5.事務所衛生基準規則に関するよくある質問

事務所衛生基準規則に関するよくある質問を、集めてみました。皆さんから聞くことが多い内容について触れていますから、しっかり確認しておいてください。

5-1.どんな事務所であっても衛生管理者を選任する必要がありますか?

衛生管理者を職場におく義務は、常時50人以上の従業員が働くことが条件となっています。従って、49人以下の職場の場合は義務がありません。ただし、衛生管理者ではなく安全衛生推進者等を選任する義務があります。いずれにしても、労働者の環境の保全は守るべき事項であることに違いありません。なお、常時50人以上の従業員規模に達したときは14日以内に衛生管理者を選任することになりますので注意してくださいね。

5-2.事務所衛生基準規則では室温を17度以上28度以下の維持が難しい場合は?

事務所の立地や天候の関係で、常に室温を17度以上28度以下に維持することが難しくなる状況もあるでしょう。しかし、空調設備の交換や室温維持の工夫をすることが大切です。適温を維持できない環境は、労働者にとって過酷な状況であるだけでなく事業の生産性も落ちてしまいます。なお、あらゆる努力をしても適温を維持できない場合は、事務所の移転や改築なども視野に入れて考えてください。

5-3.衛生管理者は本社と支店でそれぞれに選任する必要がありますか?

衛生管理者の選任は、事業所ごとに常時50人以上の従業員が働くこととなっています。つまり、本社と支店で条件を満たしている場合はそれぞれに選任してください。なお、事業所の従業員の数によって、衛生管理者の人数が異なります。詳しくは、以下を参考にしてくださいね。

  • 常時50人以上200人以下の職場:1人以上
  • 常時201人以上500人以下の職場:2人以上
  • 常時501人以上1,000人以下の職場:3人以上
  • 常時1,001人以上2,000人以下の職場:4人以上
  • 常時2,001人以上3,000人以下の職場:5人以上
  • 常時3,001人以上の職場:6人以上

従業員の増加したタイミングで、衛生管理者の数も見直しを行ってください。

5-4.女性労働者が常時100人以上いる職場では女性用トイレの数はいくつ必要?

事務所衛生基準規則には、女性用トイレの数についても触れています。女性用トイレの数については、20人以下ごとに1つ以上の女性用トイレの設置をするように指定があることを認識してください。つまり、100人以上の女性労働者がいる場合は、5つ以上の女性用トイレが必要となります。なお、指定数は最低設置数なので可能であれば多く設置する方が好ましいでしょう。

5-5.衛生管理者の資格取得はどんなメリットがありますか?

衛生管理者は、従業員50人以上の職場に必ずおくことが義務となっているため資格取得者はとても歓迎しているのが現状です。確かに、衛生管理者の資格取得だけでは、就職や転職の決定打にはなりにくいでしょう。しかし、ほかの人と比較したときに衛生管理者の資格があることは採用に有利に働くことは間違いありません。また、衛生管理者の資格取得をステップとしてほかの資格にチャレンジするときにも、知識を生かすことができます。衛生管理者の資格取得は、就職・転職に有利なほかにも自分の仕事の範囲を広げるためにもメリットが大きいことだと考えてください。

まとめ

今回は、事務所衛生基準規則に関して具体的に解説しました。皆さんの中で、事務所衛生基準規則への理解は深まったでしょうか。事務所衛生基準規則について正しく理解することは、安全な環境で安心して働くためにも大切なことです。併せて、労働安全衛生法や衛生管理者の職務や資格について学んでください。事務所衛生基準規則に対する理解が、ますます深まることになるでしょう。衛生管理者の資格についても、ぜひ取得を考えてみてください。