介護施設の衛生管理は? 職務や参照マニュアルなどを徹底解説!

介護施設とは、介護が必要な方が入介護士をはじめとする職員の介護を受けながら生活をする施設です。要介護度が高い高齢者を介護する施設をイメージする方が多いと思いますが、体に障害を持った方や事故などで重度の後遺症が発生し、日常生活が不自由になった方が生活する施設もあります。

今回は、このような介護施設での衛生管理についてご紹介しましょう。厚生労働省などが作成した衛生管理マニュアルがインターネット上で公開されていますので、それを利用しながら衛生管理者が職場の状態をよく観察し、必要な措置を取っていくことも大切です。

  1. 介護施設における衛生管理とは?
  2. 介護施設における労働災害とは?
  3. 衛生管理者の資格を取得するには?
  4. 介護施設の衛生管理に関するよくある質問

この記事を読めば、衛生管理者の仕事内容などもよく分かるでしょう。衛生管理者の資格取得を目指す方も、ぜひ読んでみてくださいね。

1.介護施設における衛生管理とは?

はじめに、介護施設ではどのような点に注意して衛生管理を行うかということや、衛生管理者の役割についてご紹介します。介護施設の衛生管理にはどのような特徴があるのでしょうか?

1-1.介護施設とは?

介護施設とは、その名のとおり日常生活を自分で行うことが難しい方が、介護士などの助けを借りて生活をする施設です。特別養護老人ホームや介護老人保健施設・介護療養型施設などがあり、施設によってどのような介護が行われるかが異なります。今ご紹介した施設は、要介護度の高い高齢者を対象とした施設ですが、この他に障害者や事故などの後遺症で体が不自由になった方を対象とした介護施設もあるのです。

1-2.介護施設における衛生管理の特徴

衛生管理とは、従業員が健康で衛生的に働き続けることができるように職場環境を整えることです。介護施設の場合は、職員が24時間交代で勤務をしているところもたくさんあります。病院と同じような勤務形態といえば分かりやすいでしょう。ですから、健康状態が乱れやすくなっており、一般的な勤務形態の職場よりもより職員の健康状態に気を配っておく必要があります。

また、介護施設に入所している方は年齢や病気などが原因で免疫力や抵抗力が弱まっている方も多いため、感染症などにかかりやすくなっているのです。そのため、職員の健康状態を把握して良好に保つことは、入所者の健康管理にも役に立ちます。

1-3.衛生管理者の選任義務と仕事

衛生管理者とは、職場の衛生管理を行える国家資格のことで、50人以上の従業員が所属している職場には選任が義務付けられています。この50人の勤務形態は問われません。たとえば、訪問介護なども手掛けている施設で職員の半数が職場に常在していない場合でも、50人以上が所属していることになっているのならば、衛生管理者を選任する義務があります。なお、衛生管理者には一種と二種がありますが、介護施設の場合は第一種・第二種どちらでも選任することができるのです。

介護施設における衛生管理者の仕事は、一般の企業と変わりありません。週に1度、職場巡視を行って職場の様子を確認したり従業員の相談に乗ったりします。介護の仕事は皆様が想像しているよりもずっとハードです。心身の健康を保ちながら仕事を続けていくためには、いざというときに相談ができる場所を作っておくことが大切になります。また、職場から依頼を受けて従業員の健康相談に乗ったり、病院の受診をすすめたりする産業医との橋渡しも衛生管理者の役割です。肉体的だけでなく精神的に疲弊した場合も、医師の診察と治療は必要になります。

1-4.介護施設の衛生管理で特に気をつけることとは?

前述したように、介護施設では感染症などが一度流行すると入所者の命にかかわることがあります。また、結核など通常では流行しにくい感染症がまん延することもあるでしょう。そのため、従業員の衛生教育が必要です。

さらに、介護は体力のいる仕事なので従業員が腰をはじめとした体の各部位を痛めることも、珍しくありません。ですから、年に1度の健康診断の結果をよく把握しておき、必要があれば経営者と改善対策を話し合う必要があります。

また、介護施設では食中毒をはじめとする各種感染症の予防が大切です。そのため、インターネット上で公開されている『高齢者介護施設における感染対策マニュアル』や、『大量調理施設衛生管理マニュアル』を利用して、従業員の衛生教育を行いましょう。マニュアルをそのまま利用してもよいのですが、自分たちが働く施設に合わせて改変してもよいですね。特に、感染対策マニュアルは従業員の健康を守るためにも役立つ情報がたくさん載っています。衛生管理者の方はぜひ一読してみましょう。

1-5.衛生委員会を設置する

衛生委員会とは、従業員に衛生管理の大切さを理解してもらうとともに、従業員の衛生管理に対する意見を経営者に伝えるために設置する委員会です。従業員が50人以上所属している職場では労働安全衛生法によって設置が義務付けられています。つまり、衛生管理者の選任が義務付けられている職場では、衛生委員会を設置しなければなりません。

また、衛生管理者を選任する義務のない職場の場合、衛生委員会を設けることで従業員に衛生教育を行ったり、経営者と従業員が衛生管理について話し合ったりすることもあるでしょう。

衛生委員会は、衛生管理者や産業医・従業員の推薦によって選出したメンバーなどによって構成されます。委員は衛生管理の経験がなければなりません。介護施設は仕事が忙しく、衛生委員会を開催する時間が取りにくい職場もあるでしょう。しかし、委員会を開催することで、より働きやすい職場を造ることができます。衛生管理者が中心となって月に1度は開催するようにしましょう。

なお、経営者は勤務時間中に衛生委員会を実施する義務があります。時間外に行う場合は会議時間を勤務時間と同等に扱い、割増賃金を払わなければなりません。

2.介護施設における労働災害とは?

介護施設における労働災害は、大きく分けて2つあります。1つは介護中の事故です。介護をされる方の中にはほとんど動けない方もいますし、認知症を発症されている方もいます。そのような方を介護している最中に事故が起こることは決して珍しくありません。入所者がケガをすることもありますが、職員がケガをしたり体を痛めてしまうこともあるでしょう。

また、不規則な勤務時間や人間関係などが精神に悪影響を及ぼすこともあります。うつ病をはじめとする精神病を発症し、労働災害と認められた例もあるのです。これらの労働災害を未然に防いだり再発を予防したりするのも、衛生管理者の職務となります。

3.衛生管理者の資格を取得するには?

では、衛生管理者の資格を取得するにはどうしたらよいのでしょうか? この項では、試験の内容や勉強方法のコツをご紹介します。ぜひ参考にしてください。

3-1.衛生管理者の資格を取得するには?

衛生管理者の資格を取得するには、大学の指定学部で単位を取得し、厚生労働大臣の定める講習を受講して取得する方法と、一定の実務経験を積んで試験を受けて取得する方法があります。

衛生管理者には1種と2種があり、介護施設で衛生管理者として働く場合は2種でも大丈夫です。実務期間は大学を卒業した方では1年間、高校を卒業した方は3年間必要になります。義務教育を修了した後ですぐに働きはじめた方は、10年の実務経験が必要です。

なお、薬剤師や保健師など特定の資格を取得している場合は、各自治体の労働基準局に書類を提出すれば第1種衛生管理者の資格が取得できます。

3-2.試験の内容など

衛生管理者の試験は、

  • 労働衛生
  • 労働生理
  • 関係法令

の3科目です。科目ごとに時間は区切られておらず、3時間ですべての科目を解く必要があります。全体で6割以上の正解率で合格です。

3-3.試験の日程や申し込み方

衛生管理者の試験は、安全衛生技術試験協会が主催して行っています。衛生管理者の試験は月に1回~3回試験が行われるため、その気になれば年に2~3回挑戦が可能です。そのため、合格率はとても高く第1種・第2種ともに50%以上となっています。ただし、初めての試験で合格する方は25%以下でしょう。決して試験問題が易しいわけではありませんので、しっかり勉強しないと合格できません。

衛生管理者の試験は、協会のホームページから電子申請が行えます。毎月試験が行われるため試験には定員があり、土日など受験しやすい試験日は早々にいっぱいになってしまうこともあるでしょう。受験の申し込みは1か月前から行うことができますので、土日に試験を申し込みたい方は早めに申し込んでください。

なお、毎月行われる試験は安全衛生技術センターの各支部での開催となるため、遠方の方は泊りがけで試験にのぞむ必要があります。支部の場所は協会のホームページで確認してください。

年に1度安全衛生技術センターの支部がない県でも、大学などを利用して出張試験が行われます。泊りがけで試験を受けたくないという方は、その日に受験してください。受験料は6,800円です。

3-4.勉強方法のコツ

衛生管理者の勉強方法は、独学か通信教材を利用して行うのが一般的です。衛生管理者を受験する方のほとんどが社会人かと思います。ですから、仕事と勉強の両立に悩まれている方もいるでしょう。まとまった時間を勉強にあてることが難しい場合は、通勤時間や仕事の休み時間など隙間時間を活用しましょう。

SATの教材は、最短で20時間あれば合格に必要な知識を身につけることができます。ブック形式の参考書だけでなくDVDを利用した講義形式の参考書もついていますので、耳と目の両方から知識を身につけることができますので勉強がはかどること間違いありません。初めて資格にチャレンジする方だけでなく独学で勉強して試験にのぞみ、残念ながら不合格になってしまった方にもおすすめです。

4.介護施設の衛生管理に関するよくある質問

Q.まだ新しい施設の場合は、マニュアルなども整備されていないと思いますがどう対処したらよいでしょうか?
A.マニュアルが整備されていない場合は、自分たちで作っていくしかありません。インターネット上で公開されている他の施設の衛生管理の方法などを参考に作っていきましょう。

Q.職員が増え続けて来年あたり50人を突破しそうですが、衛生管理者の選任義務はありますか?
A.50人を超えた時点で選任義務が発生するので必ず選任してください。

Q.50人以下の場合は、選任義務がないのでしょうか?
A.法律上はありませんが、衛生管理は介護施設にとって重要です。安全衛生推進者を選任しましょう。

Q.衛生管理者を選任しない場合、罰則はありますか?
A.法律によって罰金刑が定められているのと、各自治体の労働基準監督署から指導が入るでしょう。

Q.職場巡視はただ見回るだけでよいのですか?
A.声かけや従業員の相談に乗るなどしてあげましょう。

5.おわりに

いかがでしたか? 今回は介護施設の衛生管理についていろいろとご紹介しました。介護施設は種類が多く、施設によって勤務形態も入所者の様子も違います。マニュアルがあっても施設ごとに独自の決まり事ややり方などを定めていく必要があるでしょう。衛生管理者にとっては大変ですが、やりがいのある職場でもあります。